日立の国内外の連結社員は約33万人、連結子会社は957社におよぶ。全員の能力を見極めて育成し、適材適所に配置するのは容易ではない。そのため同社は2011年7月に「グローバル人財本部」を新設。従来の人事諸制度の抜本的な見直しを含むグローバルシフトの人事戦略を推進している。

その柱は(1)海外で通用するリーダー教育と経営人材の育成、(2)外国人を含めた人材活用のグローバルシステムの構築――の2つだ。取り組みは採用段階から始まる。外国人や海外大学の日本人留学生の積極的採用を実施し、12年度採用の6割(450人)をグローバル事業展開を牽引する「グローバル要員」として採用した。

さらに若手社員の海外派遣を強化し、11~12年度に従来の10倍以上の規模となる2000人のグループ社員を中国、東南アジアなどの重点地域に派遣した。対象者は非管理職層(主任以下)で将来、グローバル人材として活躍が期待される人であり、語学学校への1~3カ月程度の派遣や現地法人での業務の経験など全90コースを用意している。狙いは海外案件に携わる前に、海外での生活を通じて肌感覚で現地の文化・生活を理解させること。もちろん13年度も継続している。

従来のリーダー教育もグローバルを基軸に11年度から全面的に刷新した。前出の山口氏が日立総合経営研修所の社長時代に手がけたが、きっかけとなったのはアメリカの海外子会社の人事部門の責任者のときの教訓だ。

「1番強烈に感じたのは、日本人のリーダーが圧倒的に不足していることでした。相当に優秀で成果を発揮している人を送ってもらってもアメリカに来た途端にうまく機能しなくなってしまう。これって何だろうと思いましたよ。アメリカ人リーダーとこれだけ差をつけられていては、今後競争相手には絶対に勝てないし、このままではダメだということで経営研修のやり方を変えなければいけないと思ったのです」