なぜうつ病の人はちょっとしたことで落ち込みやすいのか。早稲田大学名誉教授の加藤諦三さんは「不安な人は思い込みが強く、その裏にはすさまじい敵意が存在している。一方で不安というのは『いまの自分の生き方が、どこかおかしいですよ』というメッセージでもある。ただちにそれに気づいて、治さなくてはいけない」という――。

※本稿は、加藤諦三『不安をしずめる心理学』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ソファに座り、家の窓から外を見る若い女性
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嘆いている人にアドバイスは厳禁

よかれと思って、嘆いている人に、「こうしたら解決しますよ」と、具体的な解決方法を示すと、ものすごく不愉快な顔をされることがあります。

なぜ不愉快な顔をするかというと、それはすでに申し上げたように、悩んでいること、嘆いているということが、無意識の退行欲求を満たしているからです。

カレン・ホルナイは「悩んでいる人の最大の救いは、悩みである」と述べています。これは、自分の退行欲求を満たしているという意味で、悩んでいることは本人にとって最大の救いだということです。

「うつ病ほど、他人の理解を必要とする病気はない」と言われます。

一方で、「うつ病ほど他人が理解するのが難しい病気はない」とも言われます。

だから、うつ病は、なかなか治りません。

うつ病の人が「死にたい」と言うのは、それによって退行欲求が満たされるからで、悩むことが最大の救いだからです。

うつ病の人は何かちょっとしたことで、すぐに落ち込んでしまいます。心理的に健康な人が、「なんでそんなことで落ち込むのだろう。そんなことで落ち込まれたら、自分なんて朝から晩まで落ち込んでいなくてはいけない」と思うようなことでも落ち込むのです。

心理的に健康な人がそう思うことは当然なのですが、うつ病の人は落ち込むことで自分の退行欲求を満たし、さらに周りの人を批難しています。