※本稿は、伊藤羊一『壁打ちは最強の思考術である』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
すぐにできそうな“アポ取り”すら面倒に感じるワケ
「あの人、めちゃめちゃ仕事がデキる! すげー!」
圧倒的に成果を出し、周りからリスペクトされる。あなたの周りにも、思い浮かぶ人はいませんか?
仕事がデキる人とできない人、その違いはどこにあるのでしょうか?
おそらく、その違いは行動の質と量、スピードです。
同じ時間を過ごしていても、より多く、そして速く、成果に結びつくアクションをするという行動力の違い。
では、その「行動」はどうやって生まれるのか? 行動の前にあるもの、それはズバリ、「思考」です。それもスッキリと整った思考があることで、行動が量産されていくのだと思います。
たとえば「新規のお客さんを開拓して、商談のアポをとってくる」というミッションがくだったとします。
この行動を起こすために考えなければいけないことはたくさんあるわけです。「どんな商材を」「どんなお客さんに」「どんな価値を伝え」「どんなタイミングで」「どういうコミュニケーション経路で」……。1件のアポをとるという行動を起こすために、整理すべきポイントはいくつもあるんですね。
これらを一気に組み立てる思考力を磨いた人は、行動の質と量も高くなる。
すなわち、行動の前には思考あり。
フニャフニャの脳で考えるのはムダ
逆に言えば、頭の中で思考がぐちゃぐちゃと絡み合ってまとまっていない人は、いつまで経っても行動できないということです。
やるべきことはなんとなく浮かんでいるものの、モヤモヤとして形を成さず、言葉にするのも難しい。言語化できないから、それ以上考えを進めることもできずに、会議で提案することはおろか、企画書にまとめることすらできないまま……。
頭の中にはモヤモヤがたまるばかりで、ストレス!
「どうして自分は仕事がサクサク進められないんだろう?」と悩んでいるとしたら、思考力不足を疑ったほうがいい。
ここで言う「思考力」とは、知識を詰め込む暗記力や計算力ではなく、モヤモヤを整理して形を成す「論理的思考」の力です。もちろん、この記事を読んでくれる皆さんは、「考えていない」わけではないでしょう。ですが、「論理的思考」の型を理解しないまま考えても、それは「思考」とは言えない場合があるのです。それに時間を費やしているとしたら、非常にもったいない。思考力は、何歳になっても、誰でも鍛えられる力なのでご安心を。
僕もかつて豆腐のようなフニャフニャ頭だった時代を乗り越えて、37歳以降、5年くらいかけて身につけた思考力によって、その後の仕事で成果を出せるようになって、めちゃめちゃ面白くなりました(このあたりの経験談については、拙著『1分で話せ』をご笑覧ください)。
思考力を鍛えたら、行動がともなってくる。結果、「仕事デキる人間」に変われる。これは間違いありません。
では、どうやったら思考力を身につけることができるのか?
材料は、頭の中にある「モヤモヤ」だけでOK。さあ、行動を引き起こす思考になる「0→1」のステップをマスターしてしまいましょう。

