※本稿は、池谷敏郎『高血圧、脳卒中、心筋梗塞をよせつけない! 「100年血管」のつくり方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
オヤジっぽく入り、年寄りっぽく出る
入浴は、1日の疲れを癒やすリラックスタイムですから、本来は副交感神経が優位になる時間です。日中に活動する中で高ぶっていた交感神経を鎮め、交感神経から副交感神経へとスイッチする、とてもいい習慣です。
その一方で、入浴は血管事故が起こりやすいシーンでもあります。入り方によっては、交感神経のほうを刺激してしまうのです。実際、入浴中に亡くなる高齢者は、交通事故死の倍以上です。(政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」)
安心してバスタイムを楽しむために、入り方のコツを覚えておいてほしいと思います。私がよくお伝えするのは、「オヤジっぽく入り、年寄りっぽく出る」ということ。そう話すと、みなさん「え?」と一瞬固まります。
「あ゛〜~」と脱力して入るといい
まず、湯船に入るとき。熱いお湯にドボンと勢いよく入るのは危険です。
42度以上のお湯に急に浸かると、交感神経が刺激され、血管がキュッと収縮して、血圧が一気に上がります。そこで、39度から41度のややぬるめのお湯に、「あ゛〜〜」と言いながらゆっくり脱力して入りましょう。温泉に行くと、おじさんが「あ゛〜〜」と気持ちよさそうに入っていますよね。あんなイメージです。ゆっくり脱力して入ることで、血圧の急上昇を抑えられます。
そして、湯船から出るときには年寄りっぽく、です。片手で手すりか浴槽のふちをつかみながらゆっくりと腰を上げたら、膝にもう片方の手を当てて、軽く腰を曲げて、頭を下げた姿勢に。そこから「どっこいしょ」と口にしながらゆっくりと立ち上がりましょう。
湯船から出るときに、クラッとしたことはありませんか? お湯に浸かっているときは体が温まって血管が開き、血圧が下がります。その状態でいきなり立ち上がると、頭まで十分な血液が届かず、脳貧血を起こすことがあるのです。ひどいときには意識がもうろうとしてその場で倒れてしまい、頭を打って脳挫傷を起こしたり、浴槽でおぼれてしまったりすることもあります。
だから、湯船から出るときには、「どっこいしょ」とあえて声に出し、ゆっくりした動作で、脳まで血液がのぼる時間を確保しましょう。

