性能差がなくなっても変わらないブランド価値

かつて、ちょっと頑張ればサラリーマンでも手が届くかもしれない、そんな夢を見させてくれたフェラーリ。しかし、その時代は完全に終わりを告げました。ここ10年ほどで、中古フェラーリの価格はすっかり上昇し、2010年に800万円ほどだった中古のF355(6段MT)が現在では2000万円に到達するなど、まさに倍々ゲームのような高騰を見せたのです。かつて私は『貧乏人はフェラーリを買へ!』『年収300万円台から始めるフェラーリ購入計画』といった書籍を執筆しましたが、サラリーマンがフェラーリを買うことは、もはや現実的な目標とは言えなくなってしまいました。

スーパーカーブームに熱狂した世代も50代後半からそれ以上になり、「頑張ってフェラーリを買う」層は、ほぼ絶滅したと言っていいでしょう。私自身も「頑張って買おう」なんて言うのは、もうやめました。無理なものは無理ですから。フェラーリの大衆化は、完全に終焉を迎えたのです。

価格高騰の背景には、フェラーリが単に憧れる車から、投資対象として見られるように変わったことが挙げられます。リーマンショック後の景気回復とともに、世界的にカネ余りの状況が生まれ、「必ず上がる」的な期待感からフェラーリに資金が流入したのです。

面白いのは、日本の中古フェラーリ市場がターゲットになったことです。日本では比較的価格が安定しており、しかも状態の良い中古車が多かった。そこに目を付けた海外バイヤーが殺到し、良質な中古フェラーリがどんどん海外へ流出していきました。一時は海外からの買い付けが日本国内の需要を上回るほどで、それがさらなる価格上昇を招いたのです。

もちろん、すべての高級車が同じように値上がりしたわけではありません。マクラーレンやアストンマーティンなどは、ごく普通に値落ちします。では、なぜフェラーリや、そして日本で特に人気の高いランボルギーニだけが、これほどの価値を維持できるのか。

ランボルギーニが日本で強いのは、スーパーカーブーム時代のカウンタック人気がいまだに根強いからでしょう。一般大衆の反応を見れば、フェラーリの10倍は注目を集めます。しかし、ヨーロッパなど海外では「品がない」「モータースポーツの実績がない」といった見方もあり、評価は異なります。