記憶力を鍛えるためにはどうしたらいいいか。司法試験をはじめとする法律資格受験指導校「伊藤塾」塾長の伊藤真さんは「理解がきわめて難しい部分については丸暗記をしてしまったほうが、あとから理解がついてくる」という――。

※本稿は、伊藤真『大事なことだけ覚える技術』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

英語教育の概念
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「丸暗記」は、じつは役に立つ

「丸暗記はよくない」といわれます。

でも、その場合の「丸暗記」とは何でしょう?

私が思う丸暗記の定義は、「理解をせずにただ覚えること」。

内容を理解していないにもかかわらず、やみくもに覚えてしまうことです。

なぜそれがいけないのかというと、中身を理解していないので、結局それをどこで使っていいかわからない。覚えても使えない情報だからです。

しかもどこで使うかわからない情報は、間違った使い方をして、試験や仕事で大きなダメージを招くおそれがあります。

では丸暗記がまったく役に立たないのかというと、そうではありません。

理解がきわめて難しい部分については丸暗記をしてしまったほうが、あとから理解がついてくるということもあります。

暗記は「考える土台」

たとえば英語を学ぶとき。

まずは「基本」となる英単語を暗記したり、英文法の基礎や重要構文を覚えたりしなければ始まりませんよね。

そして、シャドーイング(音声を聞いた後、復唱する)したり、多読をしたり、英会話を重ねたりして、習得していきます。

丸暗記に頼るのはよくないのですが、それは理解せずに鵜呑みにしても、司法試験はもちろん、さまざまな試験は突破できないからです。

実生活で、役に立たないのです。

しかし、だからといって暗記そのものを否定してはいけません。

考える基礎となるのは、あくまで覚えたものです。

理解して、覚える。その作業を暗記というなら、暗記は考えるために必要な基礎、つまり「考える土台」です。

目指すべきは、やみくもに丸暗記することではなく、いかに効率よく記憶し、それを使いこなすかという記憶術の習得なのです。

昔、日本の寺子屋では小さい子どもに、『論語』や漢詩を暗記させました。

子どもたちは意味もわからず、丸暗記しましたが、大きくなるにつれてその意味を理解し、立派な人間に成長していきました。