進むべき道を見つけるモラトリアム期間
シニアの働き方は、20代や30代のそれとは大きく違います。若いときは子育てなどで、お金はいくらあっても足りないくらい。稼げる仕事を選ぶ人が少なくなかったはずです。でもシニアは違います。これまで会社では嫌なこともあったけれど、とにかく我慢してがんばった。そんな暮らしから解放されて自由を望む人が多いはず。
かといって、いきなり独立ではリスクが大きすぎます。最初のステップとして「できること」から始め、外の世界に少しずつ馴染みながらステップをのぼり、最後に好きなことをする仕事にたどり着くのが理想でしょう。
ちなみに、よく聞くのが「できることなんて、自分にはない」という声です。でも、これは間違い。30年も働いていれば、いろいろなことを経験して、それがその人の強みになっているはず。必ず「できること」はあるのです。
そのように進むべき道が定まらない人にとっても、考える時間をくれるモラトリアム期間となるのが、「再雇用」です。それまでの肩書やキャリアをいったんリセットして、定年退職した会社で再び働く方法なので、外に出てリスクを取りたくない人や、これまでの人とのつながりを大切にしたいという人にも向いている働き方です。
定年後も働く人のうち、約87%がこの再雇用という働き方を選んでいます。学費がかかったり、親の介護が始まったりと、経済的に不安な人はまずこの働き方を選ぶのが一番。そしてその間に、最後にどんな仕事をやってみたいか、どんな働き方が自分に合っているのかなどを、ゆっくり考えるのです。
とはいえ、再雇用にもデメリットはあります。リスクとなるのが、心の負担です。これまで重圧を背負いながらバリバリ働いてきた企業戦士が一転、責任のない仕事に追いやられる。時には若い人から指示されたり、妙に気を使われたり……そんな状況を受け入れられない人が少なからずいるのです。
給料が3分の1に⁉ プライドが許さない
次のページに登場する三浦さん(仮名)は、ボランティアの経験が功を奏したのでしょうか。上手に気持ちを切り替えています。このように、マインドチェンジに成功した柔軟な人にとって再雇用は良い働き方になる一方で、プライドが高く、性格的に切り替えができない人の心の負担は、想像以上に大きいものだと覚悟しなくてはいけません。
そうしていったん不満が芽吹いてくると、安定しているはずの給料にも不満を感じるようになります。人手不足が深刻な今の時代には、再雇用されても現役時代とほぼ同じ仕事をさせられる人もいます。ところがそうしたケースでも、給料だけが3分の1程度になってしまうことも。「同じ仕事をしているのに、なぜ?」と不満を感じる人がいて当然です。
そこですべきことは、マインドチェンジしかない。それが嫌なら独立したり、もっと求められている会社に転職して、実力を発揮するという方法もあるはずです。とはいえ現実的にいきなりの独立や転職にはリスクがあります。そう考えると再雇用は、次のステップに進むための、給料がもらえる助走期間と割り切るのがいいでしょう。
今の60代のなかには、給料をもらいすぎてきた人も多いはずです。減額された給料に納得するしかないのです。その代わり再雇用の期間は、次のステップへ上る準備のためにフル活用します。職場では経験を活かして積極的に提案したり、勉強会に出て人脈を広げたり。会社が用意したリスキリングなどの学びの場を活用するなどして、自分磨きに励むのが得策です。
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