被害者の3分の1が60歳以上
消費生活センターには、さまざまな消費トラブルに関する相談が届きます。全国で年間およそ87万件、都内だけでも約13万件の相談が寄せられており、そのうち60歳以上の方の相談は4万4000件と約3分の1を占めます。特に一人暮らしの高齢者は誰にも相談せずその場でお金を払ってしまい、あとから不安に襲われることが多いようです。被害のほとんどは犯罪にならないギリギリを攻めた巧妙なもの。警察は取り合ってくれない場合が多いので、自衛する必要があります。
特に最近増えているのが、私たちが〈点検商法〉〈レスキューサービス〉〈マンションの押し買い〉と呼ぶ手口です。その代表的な事例を紹介しましょう。
強盗のきっかけにもなる点検商法
ケース1:作業服を着た人がやってきて、「お宅の屋根が壊れてるみたいだから、無料で見てあげましょうか」と言う。お願いしたら、「ほら、瓦が割れてましたよ」と写真を見せられた。「これは本格的な修理が必要ですね」と言われ、総額100万円の屋根工事の契約をしてしまった。
ケース2:点検に来たガス業者が「ガス給湯器が古くなっていて、いつ壊れてもおかしくない状況です。もし冬場に故障したら水風呂に入ることになって、体を壊してしまいますよ」と言う。心配になってその場でお金を払い、新しい給湯器に換えてもらった。しかし、後日息子に報告すると、「前回の交換は7年前だからまだ使えたはず」と怒られてしまった。
ケース1は一軒家を狙い、本来なら工事の必要のない屋根工事を迫るパターンです。トンカチなどでわざと壊して、「ほら、壊れてますよ」という「自作自演」のことも。
また電力会社やガス会社では、契約者に対し4年に1度、電気設備やガス設備が問題なく使えるかどうかを訪問調査(法定点検)します。それを騙るのがケース2です。最近特に多いのが給湯器や分電盤の交換を迫るパターン。彼らは定価や高めの価格で新品の器具に取り替えるので犯罪には問われません。ですが、あと数年は使えるものを比較的高額で新調させる点や、商品や事業者の比較検討をせずに契約させる点などが悪質です。
本物の法定点検なら、1カ月以上前から訪問日時のお知らせがポストに入っているはず。もし突然訪問者が来たら居留守を使うのが一番ですが、出てしまったら、身分証を確認すること。もしくはいったん帰ってもらい、先方が言う電話番号ではなく、電気やガス器具に貼ってあるシールに書いてある番号に電話して、本当に法定点検をしているか聞いてみることです。
なお、本物の法定点検でも、古い給湯器や分電盤の交換を推奨することはあります。しかしその場で売りつけることはありません。
もし契約をしてしまったとしても、この場合は訪問販売にあたるので、契約した日を含めて8日以内であればクーリング・オフができます。できるだけ早めに最寄りの消費生活センターなどに連絡してください。
また、点検商法の本当の怖さは、室内の様子から「この家は高齢者の一人暮らしだな」などと生活の実態を知られてしまうこと。最近増加している強盗のきっかけにもなりかねません。突然訪ねてきた人には慎重に、できれば相手はしないくらいが無難です。
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