サラリーマンの平均年収は412万円――。ピークの1997年と比べ、50万円以上減少した。もはや現状を維持するのも難しい時代、上昇し続けるためにはどうすればいいか。
平は「2週間単位」、課長は「1年単位」
40代前半は、マネジャーになる人が多く、ビジネス人生の大きな転換期です。当然、プレーヤー時代とは異なる視点を獲得しなければなりません。
第1に、マネジャーには会社全体を見渡す視点が必要です。サッカーでいえば、ボールを追いかける選手の目線から、チーム全体の動きを追う監督、コーチの目線に切り替えるわけです。
マネジャーは全社的な視点から、自部門の役割を理解し、部下たちの行動を方向づけていきます。上からの情報を部下に伝えるときには、現場向けに噛み砕き、意味づけしていきます。
反対に現場の情報は、整理し、優先順位をつけて上に報告します。他部署と連携をはかることも増えるでしょう。プレーヤー時代に比べて縦、横、斜めと空間的に視点が転換していきます。
同時に、時間的にも視点を転換します。プレーヤーなら今週、来週、せいぜい今月の仕事を進めればよかったのですが、マネジャーは少なくとも半年から1年先まで計画を立て、成果を出さなくてはいけません。
部下育成では、数年先まで見通して手を打つことが求められます。そこでプレーヤー感覚を引きずっていると、「自分でやったほうが早い」と部下に仕事を任せることができなくなります。
このように40代前半は世界観をガラッと変えるように強いられるわけですが、一方で人間は、行動経済学でいう「現状維持バイアス」も働きます。変わりたくない、このままでいたい、という変化への抵抗は、年齢が上がるほど強まります。その意味で40代前半は、変化への対応力を最初に試される時期です。この先出世するために最も重大な要素の1つが、この対応力なのです。