決して日本もひとごとではない
案の定、2015年頃からウイグルへの弾圧が激しさを増しました。母国語を奪って、ウイグル人女性と漢人を結婚させて、言葉や身体的な特徴を消し、漢族と同化させようとしています。その5年後には、先述したモンゴル人への母語教育や歴史教育が禁止されました。
中国政府の中枢にとって、「新清史」は少数民族たちのアイデンティティを確立させ国社会を根底から崩す概念だと危機感を抱いた証左です。
いまも中国政府は歴史の書き換えに躍起になっています。その成果のひとつが、チンギス・ハンの中華民族化であり、香港やウイグルでの弾圧です。
中国でモンゴル人として生まれ、日本で暮らすからこそ、私はこうした中国の歴史の書き換えや他民族への弾圧は、日本にとっても決してひとごとではないと感じるのです。実際、日本にじわじわとチャイナリスクが浸透してきています。これについては後編でお話しします。(後編へ続く)