モンゴル語で書かれた書籍すら消えた

そもそも南モンゴルは、13世紀にチンギス・ハンが築いた大帝国の一部でした。1949年の中華人民共和国の成立とともに現在の南モンゴルとなりましたが、文化大革命(1966~76年)の時代に激しい同化政策が行われ、34万6000人が不当に逮捕されました。

かねてから南モンゴルの草原は、漢人によって田畑に開墾されていたのですが、乾燥地帯のためすぐに砂漠化が進んでしまった。その結果、モンゴル人の伝統である遊牧ができなくなり、政策として定住を強いられました。農耕技術がないのでうまくいくはずもなく、豊かな中国人と彼らに雇われるモンゴル人という構図ができあがったのです。

静岡大学教授の楊海英さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
静岡大学教授の楊海英さん

そして現在。中国出身のモンゴル人にとって、母語であるモンゴル語が、アイデンティティを守る最後の砦だったのですが……。モンゴル語が禁止されたのは民族学校だけではありません。モンゴル語の看板は撤去され、書店ではモンゴル語で書かれた本が消えてしまいました。