作家 山本一力

1948年、高知県生まれ。14歳のときに上京。都立世田谷工業高等学校電子科卒業後、通信機輸出会社、大手旅行会社、広告制作会社などを経て、97年に『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞を受賞。2002年、『あかね空』で第126回直木賞を受賞。ほかに『損料屋喜八郎始末控え』『深川黄表紙掛取り帖』『道三堀のさくら』『まとい大名』『銀しゃり』『菜種晴れ』『いすゞ鳴る』『ほうき星』『くじら組』『晋平の矢立』『ほかげ橋夕景』『ジョン・マン 波濤編』など多数。エッセイ集に『味憶めぐり』『男の背骨』などがある。現在、23本の連載を抱える。


 

食べることは、人の生き方の原点だね。ものを食わなきゃ生きていけないんだから、食べることにいい加減な人は信用できない。結局、食に対して一生懸命ということは、自分が生きていくうえで生き方をきちんと持っているということだよ。

小説って人を描くものだから、その人がどう生きているかがものすごく大事になってくる。生きているということはものを食っているということ。だから、必然的に飯を食う場面が出てくる。それと、場面転換に食べ物はとても効果的だよね。作者というのは誰を描くにしてもその人物になりきっているから、自ずとその人の食べたいものが登場する。食い方も、嫌な奴は嫌な食い方になる。