上の世代が頭を悩ませる「家問題」とは無縁

そんな特徴を持つZ世代ですが、彼らはミレニアル世代以上に柔軟な思考性を持っていて、贅沢に対する憧れがほぼないのではないかと思われるほど謙虚、質素です。

私の会社では地方創生の一環として、東京大学の体験活動プログラムに参画して、現役の学生さんたちと地方生活をご一緒する機会を持っていますが、彼らの多くが首都圏で何一つ不自由しない生活を送り、こちらが面食らうほどに大人しい人たちです。

そして彼らと住宅の話をすると、ほぼすべての学生は「家を持つ」ことにあまり興味を持っていないように映ります。もちろん年代的にまだピンと来ないところもあるのでしょうが、家が資産になる、というミレニアル世代が信じているような志向は感じられません。

優良物件の中から選びたい放題になる

それはそうです。彼らは都心で生まれ育ち、しかも家という存在は生まれた時からある「当たり前」のものだからです。当然、これからの将来学校を卒業し、仕事を得て、家族を持つこともあるのでしょうが、本稿で見てきた通り首都圏でも大量の優良住宅がマーケットに陳列されている時代を迎えます。

彼らはもはや会社に通勤するというスタイルからもかなり解放された時代を生きることになります。相続を契機にマーケットにあふれ出た家のなかから、気軽にスマホでタイパやコスパの良いものを選ぶようになることでしょう。

そして彼らが社会の中心に躍り出た時、きっと、

「え? 家ってローンを組んで買うものだったの? コスパ悪すぎ」

うそぶくことになるのです。

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