ニュータウンのゴーストタウン化が進む

さらにこの流れは3県のニュータウンに広がります。団塊世代以降は急速に地価が上昇した東京を離れ、1980年代から1990年代にかけて郊外ニュータウンに家を構えました。この世代で相続が発生すると、すでに流動性を失っているエリアでは空き家が増加。そうでないエリアでは売却物件が急増するものと考えられます。

団塊世代以降で相続が発生し出すのは2035年前後からです。この頃になると3県の人口減少は顕著になります。ニュータウンでもよほど特徴のあるエリアでなければ、家の流動性を確保できるところはごくわずかになります。ましてや賃貸需要も望み薄なので、ゴーストタウン化が進むところが多くなるでしょう。

不動産マーケットを彷徨さまようことになるのは戸建て住宅ばかりではありません。三菱UFJ不動産販売の調べでは首都圏のマンションストック数は東京都の200万戸を筆頭に1都3県で395万戸に達していますが、このうち築30年超のマンションが152万7000戸存在します。

これらのマンションのほとんどが2030年には築40年超になります。都心物件はともかく、郊外にある多くの築古マンションで相続などをきっかけに賃貸や売却に供される住戸が多数登場してきます。空き住戸にしていると、管理費や修繕積立金の支払いから逃れることができないからです。

「いつか値段が上がる」は裏切られる

「家は資産」という日本人のDNAにしっかりと組み込まれてきた不動産神話が崩壊するのが、これからわずか5年から10年で起こる現実なのです。

持っていればまた上がるかもしれない、家の片づけが面倒なのでとりあえず空き家にして管理していればよい、などと問題の先送りを続けていると、どうでしょうか、いざ処分をしたいとなった時に不動産マーケットはその姿を大きく変えている可能性が高いのです。

個人住宅空き家は、首都圏にあっても近い将来出口を見つけることができない負動産化するリスクが年々増していく存在です。空き家は早めに出口を探しておかなければ将来さらに厄介者になります。

でも見方を変えると、これまで人生で得られるはずの収入のほとんどを住宅購入に注ぎ込んでいた日本人にとって、家なんてどこにでもある単なる消費財となる時代がすぐそこまで来ていると言い換えることができます。次世代にとっての住宅を考えてみましょう。