日本のピークを知らないZ世代が社会人に

彼らは計算高いので、持ち家と賃貸でどちらが得かといった思考をします。あまり将来がどうなるかを綿密に分析するというよりも現時点での両者を比較して、「持ち家のほうが得」という結論を出します。

ちなみに食事をする時でもSNSにおける評価ポイントの高低でお店の選択をします。何においてもまずランキングを眺める、他人の評判を重視して決める傾向があるのもこの世代の特徴です。

そして彼らが働く職場にそろそろ登場し始めたのがZ世代と呼ばれる人たちです。いくつかの定義はありますが本書ではこの世代を1996年から2012年に生まれた世代とします。

日本の国力がピークを迎えたとされる1995年以降、そしてアベノミクスがスタートする2012年までの17年間に生まれた人たちです。人口で言えば約1900万人。現在(2025年)の年齢にすると13歳から30歳。中学生から社会人8年目くらいといった人たちです。

コスパ、タイパを何よりも重んじる世代

この世代の特徴は生まれた時から携帯端末、タブレットがあり、それらは使い方を学ぶというよりも、普通の生活道具として手元にあったというものです。

彼らはスマホを扱って日々の生活を楽しみます。自らを演出することを好み、SNSを利用して情報を発信。YouTubeが日常であり、テレビや新聞、雑誌というものの存在すらほとんど意識していないように見えます。

スマートフォンを使って楽しむティーンエイジャー
写真=iStock.com/ViewApart
※写真はイメージです
牧野知弘『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)
牧野知弘『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)

逆に言えば、スマホとタブレットの画面のなかだけで必要な情報の受発信を行なっているために、パソコンは不得手。ワードやエクセル、パワポといった企業人であれば当たり前に使いこなせるソフトに手を触れてこなかった人たちです。

コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)を重視し、大量の情報のなかから常に自分に必要なものだけを選択して吸収することにけています。

話題となった映画やドラマなどは、2倍速、3倍速で視聴。話題作を「観た」という事実が重要であって、昭和世代のようにドラマについて、あるいは映画を作る監督や脚本家にこだわって、蘊蓄うんちくを語るようなことはしません。