国債を増やすことができないロシア

それではなぜ、ロシア政府は、財政赤字を拡大させないのだろうか。答えはシンプルで、ロシア政府が起債をしたところで、それを内外で消化できないからである。そのため、ロシアは財政赤字を拡大させることができず、政府は他の歳出をカットして、軍事費をねん出する必要があるわけだ。これでは国民の生活は疲弊して当然ということになる。

【図表2】ロシアの公的債務残高
(注)GDPは4四半期後方移動累積ベース(出所=ロシア連邦財務省、同統計局)

その実、ロシア政府は国債の発行を増やしている。例えば2024年11月時点で、ロシア政府が発行するルーブル建て国債残高(対内債務の97%に相当)は前年比5%増の21兆ルーブルだった。しかしながら、この間にそれを上回る高インフレが続いたことから、対内債務の対名目GDP比率は12%台から11%台とむしろ低下し、健全化している(図表2)。

これはいわゆる「インフレ課税」と呼ばれる現象だ。つまり、ロシア政府は高インフレというかたちで、国債の消化に伴うコストを国民に転嫁させているわけである。ロシア政府は2025年も国債の発行を増やす計画だが、国債の発行が増えれば増えるほどに、高インフレの継続というかたちで、国民に負担を強いる状況が続くことになる。