2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。ビジネス部門の第1位は――。
▼第1位 日本のメディアは「営業」をナメすぎている…ホリエモンが「倒産寸前のラジオ局」を3カ月で黒字化できた理由
▼第2位 「唐揚げ定食880円→1000円」で1年後に閉店に追い込まれた店が値上げより先にやるべきだったこと
▼第3位 だからファミリー客が次々と来店している…快進撃を続ける「丸源ラーメン」と競合チェーンの決定的違い
▼第4位 愛想を尽かしたイーロン・マスクは自宅ごと移住…米大企業が「トランプが支配する田舎州」に続々移転する理由
▼第5位 NECや日立はかつて「エヌビディア的存在」だった…世界一を誇った日本の半導体産業を潰した"犯人"
YouTube、ロケット、焼肉の次は「ラジオ」
実業家、堀江貴文は多角的に仕事をしている。オンラインサロン、YouTubeといったウェブメディアの事業、ロケット、衛星の開発事業、和牛、パン、カレーなど飲食の事業……。医療にも関心を持ち、教育分野でも仕事をしている。
加えて、九州では独立リーグに所属する球団とFMラジオの放送局を所有している。わたしは北九州市へ出かけていって、ふたつの事業の進捗を見てきた。そして、本人にインタビューをした。
地方のラジオ局の経営は決していいとは言えない。2019年に出身地である茨城県の放送局、茨城放送の筆頭株主となったグロービス経営大学院学長の堀義人はこう語っている。
「そもそも『ラジオ』というオールドメディア自体が、新聞などと同様に、どちらかというと斜陽産業と位置付けられている。業界的にバブル時代をピークに売上げを半減させ(茨城放送の場合には6割減)、インターネットメディアにも押されてスポンサーの獲得が年々難しくなっていた。(中略)
そんな苦しい状況下でも黒字を出し続けていた茨城放送は、やるべき経営努力をしていたと言える」
「ラジオ局の経営は伸びしろしかない」
「だが一方でその弊害も現われていた。コストカットで自主制作の番組を減らし、キー局や制作会社から買ってきた番組を放送していたのだ。自主制作の深夜放送はなくなり、通販番組は増え続けた。これではたとえ黒字を達成しても、地元のメディアとしての役割は果たせず、社員のモチベーションも下がる一方だ」(東洋経済オンライン2021/7/1)
茨城放送に限らず、首都圏、近畿圏、中京圏をのぞいた地方のラジオ局はAM局、FM局ともに上記のような経営状態が続いていた。
堀江貴文はそうした状況を把握していた。だが、「勝ち筋はある、ラジオには可能性がある」と考え、北九州のCROSS FMを買収し、会長になった。
2023年9月、堀江はCROSS FMのオーナーDHC(化粧品、健康食品の製造販売)創業者から全株式を譲渡された。譲渡だから会社を取得する費用はかからない。だが、社屋や3つのスタジオを維持するコスト、さらに従業員に給料を払わなくてはならない。そこから彼のメディア経営が始まった。
会長に就任した時の記者会見で、堀江はこう話している。
「高いポテンシャルを持つ福岡県にあるラジオ局の経営は伸びしろしかないと思っている。さまざまな実験をしながら新しいコンテンツを届けていきたい」