インフルエンザや風邪が流行している。中学受験の本番を控えた子どもが体調を崩した場合、親はどうすればいいのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「親がジタバタするとかえってマイナスになる。とにかくたっぷり睡眠をとらせることが大切だ」という――。
体温計を持つ人の手元
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ここで無理をさせるのは逆効果

いよいよ中学入試の本番が近づいている。すでに試験が行われているエリアもある。学校生活の約半分を受験対策に費やしてきたことを考えると、何としてでも合格を勝ち取りたい。それがすべての受験親の切実な願いだろう。

しかし、現実は入試を直前に控えている今に限って、風邪をひいたり、インフルエンザに罹ったりと、体調を崩す子が多い。また、最後の力を振り絞って頑張ってほしいのに、いまひとつ集中力が続かなかったり、やる気を感じさせてくれなかったりする子もいる。そんなわが子を見ていると、心穏やかではいられなくなるが、ここで親がジタバタするとかえってマイナスになる。では、どうしたらいいのか――。

「風邪をひいた」「インフルエンザに罹った」など、体調を崩してしまった場合は、とにかくたっぷり睡眠をとらせることに限る。子供の身体は正直で、疲れがたまっているときに免疫力が低下し、体調を崩しやすい。直前期は1日1日の勉強が大事にはなるが、ここで無理をさせるのはかえって逆効果。1週間くらい勉強から遠ざかっても、学力がガクッと低下してしまうことはないので、「しっかり休んで、本番までに体調を万全にしておこうね」と言って安心させ、たっぷり寝かせてあげることが一番効果的だ。

体調不良後に成績が上がった子もいた

昨年の夏はマイコプラズマ肺炎が流行り、夏期講習を1週間休んだ子もいた。親としては「こんな大事な時期に……」とネガティブに捉える人が多かったが、たっぷり休んだ結果、心と身体がリセットされ、夏以降成績が上がった子も多かった。

疲れていたら休む。体調が悪ければ、たっぷり睡眠をとる。それは、入試本番時期でも同じだ。

塾に行く元気はないけれど、一日中寝込むほどではないという場合は、家でゴロゴロしながら、テキストやこれまでのまとめを見直しておくといい。直前期にやるべきことは、新しいことを覚えることではなく、忘れてしまったことを思い出す作業が中心になる。直前期の勉強というと、机に向かって問題を一生懸命に解いているイメージを持つ親が多いが、寝転がってノートを見返すだけでも十分効果はある。大事なのは、ここで無理をさせないことだ。