受験勉強中の子どもに親はどう接するべきなのか。『子どもの自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)などの著書がある心理カウンセラーの中島輝さんは「親からの一方的な指示・命令は子どもの自己肯定感を傷つけ、勉強のやりがいを失わせる。子どものやる気を促すには、『傾聴→承認→質問』の法則で声かけするといいだろう」という――。
教室で勉強している中学生
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「勉強しなさい」は最悪のひとこと

塾への送迎に説明会の参加、ネットでの情報収集……子どもの受験なのに、自分事のように真剣に挑む親御さんが増えています。そして、子どもの成績が悪かったり、ちょっとゲームをしたり、ゲラゲラと友達と通話していたりする子どもの姿を目にすると、ついつい「勉強しなさい」と言ってしまう。ただ、その言葉こそ、子どもたちが聞きたくないワーストワードとも言えます。

子どもたちはなぜ「勉強しなさい」に嫌悪感を抱き、そして、親はなぜ思わずその言葉を口にしてしまうのでしょうか。

まず、親側の心理を読み解きます。親の多くが会社員として熾烈な競争社会に身を置いています。そんな中、子どもには「いい教育を受けさせたい」「よりよい環境の学校に行ってほしい」わけです。

子どもの将来を思い、IQやEQ(心の知能指数)の面でも整った環境で育ってほしい、そんな切実な思いを抱く親は当然多いでしょう。親が子どもの将来を思うがゆえに、「勉強しなさい」の言葉に集約して表れてしまうのです。

自分のための勉強が、義務的なものに

しかし、言われた子ども側の心理として、不幸にもその言葉は逆効果にしかなりません。なぜなら、人間は自己肯定感、自己決定感といったものが持続するモチベーションの源であり、自らの意志をもって奮起して行動に移す存在だからです。

しかし、親からの「勉強しなさい」は外部からの圧力です。何度も聞かされるうちに、勉強は自分のためなのに、「勉強すること=親の意見」となり、義務的なものにすり替わってしまいます。

そもそも受験期は、子どもが一番、勉強の重要性を自覚しています。そんな中、他者から言われるそのひと言は過剰な圧力となり、ひいては「勉強やってないの?」といったクリティカルな言葉として受け止め、より自己肯定感を傷つけられ、やりがいを失わせてしまうのです。