子どもが勉強したくなる「親の声かけ」

「勉強しなさい」の言葉には、ゴールもなければ具体的な取り組み方法のアドバイスもありません。ただ、「しなさい」と言われても子どもは混乱します。親世代の方だって自分の仕事を懸命にしているのに、他者から抽象的に「もっと数字を上げろ」「結果を出せ」と言われるのは、つらいし、苦しいですよね?

だからこそ、「勉強しなさい」といった指示・命令でなく、「何のために勉強をするんだっけ?」「憧れの高校に入るには数学が大事だよね」といった目的に基づいた声かけから、「何を勉強すれば今後につながるだろう?」など、具体的な目標の確認や取り組みを相談しながら話を進める。親の態度として、サポーティブにかかわることが大事になっていきます。

勉強をしない子に何を言えばいいかわからないと迷ったら、「なぜ」「なにを」「どうやって」など、勉強する意味や目的について声かけして、子どもの声に耳を傾けるのが賢明です。

子どもがやる気を持ったり、自信がついたりするには、生物学用語で「オートクライン」と言って、自己内分泌、つまり話していく中で自分で気づくことが重要です。親との会話を通じて「なるほど」という気づきを子どもが得られれば、思考と行動の変容が生まれます。

重要なのは「傾聴→承認→質問」の順番

声かけの大きなポイントは、「傾聴→承認→質問」の法則で接することです。これは子どもに対して、9割くらいの気持ちで傾聴し、3倍くらいの愛情の承認を与え、優しいトーンと明るい雰囲気で1つ質問することを指しています。数字はあくまで目安ですが、意識しておくといいでしょう。

子どもが勉強に行き詰まっている姿、やる気が起きない姿を見たら、まずは勉強に気持ちが向かない原因を聞いてあげながら、子ども自身が気づきを得るように寄り添っていく。そして、最後に「そのためには、まず数学から手をつけたほうがいいのかな?」などと質問すれば、先ほどもお伝えしたオートクラインによって、子ども自身に内発的動機づけが生まれてきます。

だからこそ、気づきにつながる傾聴はとても大事なんです。つまり、親が質問攻めしたり、自分のやり方をおしつけたりするのは論外だとわかるでしょう。子どもが気づきを得れば、うなずいて承認してあげて、最後に質問を添える。そうして気づきを得た子どもが勝手に課題を発見したり、問題解決にいたったりする、いわば考える力を自分で培っていきます。