余計なストレスを親が与えてはいけない
声かけ以外にも、親ができるサポートがあります。それは、子どもが緊張状態の中にいる受験期に、勉強以外のストレスを感じさせないことです。夫婦喧嘩をしたり、親自身が忙しいからと適当な食事で済ませようとしたりすると子どものストレスに影響します。
また、わざわざ「この食材は記憶力にいいから、ちゃんと食べなさい」と、押しつけるのもストレスの原因になります。「寒いでしょ。温まるからこのスープも飲んでみて」と、さりげない気配りをするなど、勉強以外のストレスを作らないことが、親の唯一にして最大の務めです。
そして、親は自分の自己肯定感を保つことも大事です。親自身が自己肯定感が低いとイライラや不安が募っているわけですから、子どもには関係ないのに、「勉強しなさい」「ちゃんとやっているのか?」と言葉を発してしまいます。
逆に、自己肯定感が高ければ、心にも余裕があるため、子どもの個性を考え、どういうやり方なら力を発揮するかなと思いを巡らせられるようになります。
子どもにとって「最高の親」とは
最後に、子どもを1人の人間として扱う上で重要なことがあります。受験があるからと言って、何でもかんでも子どもを甘やかさないことです。例えば、家庭の中で家事の役割分担を子どもが担っていたとします。受験生だから、「当番のお風呂掃除や食器洗いはしないでいい」わけではありません。
負担が軽い家事にするなど、役割分担を変えていく工夫は必要ですが、受験も大事な一方、家族の一員として役割を担っていくことも大事だからです。それを親がきちんと伝えることは、子どもの存在価値を認めることにもなります。そして、家事をしている子どもには必ず「ありがとう」と労いましょう。
また、受験生だからこそ、規則正しい生活は大事です。寝坊が続いても大目に見るのはよくありません。受験生である前に、1人の人間として向き合っていきましょう。
受験は子どもにとって、大人になる前の「試練の練習」ともいえます。ついつい勉強をしないわが子を見ると、何か言いたくなります。でも、そこでグッとこらえ寄り添って、乗り越えるさまを見守っていく姿は、子どもにとって最高の親といえます。