週末のディナーに「大盛りのパスタ」
カミールの三番目の「敵」は少々複雑だった。週に二度、とりわけ週末に、ディナーに大盛りのパスタを食べていたのだ。作るのにいちばん簡単に思えるし、自宅で料理をする安らぎを感じられる、と彼女は言った。
それは料理というものを知らない人間の意見だった。日曜の夜の憂鬱を晴らすには、まちがいなく他の方法がある。この問題には思い切ったアプローチ方法を必要とした――当分、自宅でパスタを食べないこと。ただし、そうなると、同じように満足できて簡単な料理を見つける必要があった。
春だったので、ニューヨークの青空市場は天からの贈り物だった。わたしはカミールにビーツ、フェンネル、ブロッコリー、人参を、刻んだハーブとレモン汁で調理する簡単でおいしい料理を教えた。季節の新鮮な野菜の味わいに、彼女は夢中になった。
農場でとれたてのトマトが手に入ったら、少量の塩とオリーヴオイルとみじん切りのパセリかバジルをかければ、それだけでひと皿の料理になるだろう。
フルーツと野菜の量を増やすことが簡単だと発見した
自分なりのペースで自分自身の嗜好にあわせて選択していくうちに、カミールはフルーツと野菜の量を増やすことが驚くほど簡単なことを発見した。料理初心者の彼女はこれまで作ってみようともしなかったのだが、簡単な魚のレシピに従い、たいていのレストランの基準に照らしても豪華な料理を自宅で楽しむようになった。さらに毎日20分歩くようになった(早起きはできなかったので、仕事のあとオフィスから)。これまでは一度乗り換えていたが、地下鉄で乗り換え駅まで行き、そこから自宅まで歩くようにした。
3カ月後、カミールは5キロ体重が減った。小柄な体型だと、それは劇的な効果として表れた。そして、彼女はその変化が気に入ったので、再び体重が増える危険は当分なさそうだった。それどころか、さらに楽に体重を減らすための新しい方法を熱心に試すようになった。新しい服、これまで目にしたことのなかった自信、それに以前よりも幸せそうな表情にわたしは気づいた。他の人々もそれに気づいていた。