桃太郎は本当に鬼を倒すことができるのか?
次に取り上げるのは、仮定に問題があるケースです。鬼ヶ島一帯の鬼が村々に被害を与えていることを前提に、鬼退治を達成するための仮定、その結果として期待する結論を確認します。
前提:鬼ヶ島とその一帯の鬼が、村々に被害を与えている。
仮定:桃太郎一行が力を合わせれば、鬼を倒すことができる。
結論:桃太郎一行が鬼ヶ島とその一帯の鬼を退治する。
仮定:桃太郎一行が力を合わせれば、鬼を倒すことができる。
結論:桃太郎一行が鬼ヶ島とその一帯の鬼を退治する。
このロジックに従って行動を起こした桃太郎は、どうなったでしょう? またしてもうまくいきませんでした。鬼ヶ島とその一帯の鬼たちは徒党を組んで活動しています。ただでさえ屈強な鬼が集団で行動することにより、退治する難易度はいっそう高まります。訓練を積んだ戦闘集団を打ち倒すのに十分な戦力が桃太郎一行にあるかといえばノーです。イヌ・サル・キジが鬼を打ち倒すには、鬼以上の戦力を身につける必要があり、集団を率いて数の優勢に頼ることも考えるべきです。
仮定の実現可能性を見極める必要がある
PAC思考を使って妥当な結論を導くためには、正しい前提と実現可能性が見込める仮定が必要です。
鬼ヶ島とその一帯にいる鬼たちの動向を正確につかんだとしても、最終的には個々の戦闘で勝利しなければなりません。しかし、数十人もの鬼たちは複数個所にいるため、桃太郎はイヌ・サル・キジを別動隊に仕立てて、同時に戦闘を行わなければ鬼たちをすべて退治することはできず、討ち漏らした鬼たちが村々へ反撃することを防げません。
桃太郎が仮定に加えておくべきであったのは次の点です。
仮定:桃太郎一行が力を合わせれば、鬼を倒すことができる。
:訓練で別動隊を率いる能力をお供が身につける。
:訓練で別動隊を率いる能力をお供が身につける。
キビダンゴを使ってそれぞれ仲間になったイヌ・サル・キジは、桃太郎を主体としたチーム戦では相応の戦力になるかもしれません。しかし、彼らがそれぞれチームのリーダーとして別動隊を動かす能力があるかといえば、怪しいでしょう。