※岡本純子『なぜか好かれる「人前での話し方」』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
インパクトある「キーメッセージ」が光る「エガちゃん」の名スピーチ
日本人はダラダラと話し、結論がなかなか見えない「あみだくじ話法」の人が多いのですが、これを、一番大事な要点から始める「おみくじ話法」に変えていくことで、すっきり伝わりやすくなります。この話法の主役は、おみくじであれば、運勢の「大吉」や「災い転じて福となす」といった「まとめ」となるキーメッセージです。
「今日、一番、私が言いたいことは何か?」を考え、一言にまとめる。それは家でいえば土台、木でいえば幹。しっかりとした、インパクトのあるキーメッセージを相手の心に残せたら、その話は成功と言えます。
たとえば、「感動する!」と話題になったお笑い芸人「エガちゃん」こと江頭2:50さんの入学式でのスピーチ。
代アニ(代々木アニメーション学院)のお前ら! お前らに一言物申す! 入学おめでとう!(中略)
かくいう私もトルコで全裸になって捕まったり、新宿で下半身を出して捕まったり。嫌い芸人ランキングは9年連続1位、抱かれたくない男ランキング不動の1位でした。最近では大好きだった佐山愛ちゃんにフラれてしまいました。
もう、どうしようもない人生です。
でも、そんなことがあったからこそ、好きなユーチューバーランキングで2年連続の1位をとることができたんだと思ってます。
かなり遠回りをしましたが、何が言いたいかというと、何があっても諦めるな、ということです。(中略)
お尻から粉を出す。これ普通だったらただの変態です。
でも、なりふり構わず、真剣にやっていると、誰かが笑ってくれる。
真剣にやるのは、若い君たちにとって恥ずかしいことかもしれません。バカにしてくるやつもいます。
でも99人がバカにしても、ひとりが応援してくれたら、それでいいじゃねえか。
ひとりが笑ってくれたら、それでいいじゃねえか。
それでも、もしつらいこと、いやなことがあったら俺を見ろ。そして笑え。
悩むのがバカバカしくなるから。
「何が言いたいかというと」という表現で、ここがポイントだと指し示したうえで、「何があっても諦めるな」というキーメッセージを強調しました。そして、その根拠となる、具体的で個人的な失敗のエピソードをちりばめました。