プレゼンや会議などで発言する際、自分の気持ちを相手に上手に伝える人は何が違うのか。1000人以上の社長や企業経営者を指導したコミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんは「目の動きを工夫することで、自分の話の内容が理解され、記憶されやすくなる。また相手への敬意を表すことができ、自分を魅力的に見せてくれる」という――。

※岡本純子『なぜか好かれる「人前での話し方」』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

笑顔のビジネスパーソンたち
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プレゼン、会議、面接は「目」で決まる

「目は口ほどに物を言う」

こんな言葉がありますが、目は人間の身体で最も注目を集めやすいパーツです。あるアンケート調査によれば、どのような顔が「性格が悪そうな顔なのか?」という質問に対して、

「目が冷たい」(46.9%)
「笑っていても目が笑っていない」(45.1%)

という回答が多く寄せられていました。

逆に、どのような顔が「性格が良さそうな顔なのか?」という質問に対する回答は、

「笑ったとき、目も笑っている」(54.5%)
「目がキラキラしている」(34.8%)

という順番でした。

シェイクスピアの言葉に、「The eyes are the window to the soul」というものがあります。直訳すると「目は魂への窓」「心の鏡」などと訳されたりします。

目を見れば、その人の本質までが見えてしまう、ということのようです。

それぐらいに大事な「目」は、人前で話すときも非常に大きな役割を果たします。

「ボディランゲージの一番のポイントは?」と聞かれたら、私は迷わず「アイコンタクト」と答えるでしょう。

それぐらい、話し手と聞き手が視線を交わすことは大切なのです。

それは、なぜでしょうか?

アイコンタクトは両者の大脳辺縁系のミラーシステム(目にした行為をあたかも自身のものであるかのように「共鳴する」仕組み)を活性化することが、生理学研究所の定藤規弘教授らの研究で明らかになっています。

つまり、喜びや興奮といった感情を共有し、お互いの共感を高め、絆を深めることができるということなのです。

それ以外にも、アイコンタクトによって、話の内容が理解され、記憶されやすくなる、敬意を感じやすくなる、より魅力的に見えるなど、その効果は多くの研究によって実証済みです。

まるでネオジム磁石のように、人間同士を結びつける最強の武器である一方で、目を合わせないことは自信のなさを示すとも言われます。

アイコンタクトを極めることは、話し方マスターへの第一歩なのです。