大学進学の経済的負担における格差の大きさ
東京23区の大学定員抑制や、定員管理の厳格化等を行っているが、大学進学者と定員にこれだけ大きなギャップがあれば、その効果は限定的にならざるを得ない。
しかも、一人あたり県民所得を見ると東京都が突出して高く、東京都は大学定員も多く自宅から通えるため教育費負担が相対的に小さくなる。
一方、地方は一人あたり県民所得が想定的に低いにもかかわらず、自宅から通える大学がそもそも選択できないケースが多く、仕送り負担も大きくなる。
各項目の相関係数を見ても、県民所得と大学進学率の相関係数は0.61とそれなりに高い。
大学の定員を大きく変えることは現実的には不可能だから、せめて経済的な負担を均質化する取り組みは必要だろう。簡単に言えば奨学金や学費の無償化の地方への配分を大きくすべきだ、ということだ。
例えば、北海道の旭川市の東に位置する東川町は、1年生には50万円、2年生以降は自宅外通学生には月額4万円の返済不要の奨学金を世帯収入に関係なく支給している。
その原資は企業版ふるさと納税制度を活用しているとのことだが、人口が約9000人程度の街で支給対象は100人を超えるという。こうした支援を受けて大学に行った子どもたちは、たとえ戻ってこなくても、いずれ何らかの形で何かをしてくれるかもしれない。
地方では高校卒業後すぐに免許を取得することが多い
地方では公共交通機関が衰退しているため日常の交通手段がクルマであることが多く、そのために高校卒業後すぐに免許を取得することが多い。
そのため19歳免許取得率は地方で6割を超えるところがほとんどで、一方で一都三県や関西の二府二県での免許取得率は50%を下回る。
こうした日常の生活様式だけでなく、意外にも大学進学率と19歳免許取得率の相関係数も-0.58と高くなっている。この相関係数-0.58とは大学進学率が低ければ、19歳免許取得率が上がる、という関係があることを示している。
これは、地方では自宅から通える大学の選択肢が少なく、都市部の大学に進学せざるを得ないことも多いが、その場合には免許をすぐには取得しない場合も多いことを示唆している。
逆にいえば、地方で大学に進学しない場合はすぐに免許を取得することが非常に多いということだ。
そうした地方の若者の多くは、高校生までは通学以外はどこに行くにも親の送迎が必要なことが多く、行動範囲の自由度が低いことが多い。
それがストレスとなり、都市部の大学を希望する場合もあるだろうし、就職するのであれば高校卒業までに免許を取得することも多い。
そして、卒業すれば自分のクルマを手に入れることになる。
いつでもどこでも電車で好きなところに行ける場所で育った人には、実感がわかないと思うが、高校を卒業して免許を取り、自分のクルマを手に入れて、いつでもどこにでも自由に行けるようになったときの開放感にはものすごいものがある。
地方では免許とクルマは自由の象徴なのだ。