「常識」や「当たり前」を疑ってみる
テレビの刷り込みを信じたい人に見てとれるのは、「皆と同じ意見だと安心する」「一人だけ違う意見を持つのは不安」という同調意識です。
それは「常識」と言われるものを重んじて、異端を許さないという同調圧力にもつながります。
しかし本来、人間というのは全員が同じ意見を持つことなどあり得ません。それなのに「皆と意見を揃えるべきだ」などと考えているとストレスは溜まっていくばかりです。あまりに強い同調圧力が常に存在している状態はストレスのもとになり、うつ病などの精神疾患にもつながりかねません。
ですから、うつにならないためには、その社会で「常識」とか「当たり前」とされるものを疑ってみることも大事です。
本書(『50代うつよけレッスン』)で詳述した、注意すべき「12の不適応思考」の「かくあるべし思考」を思い出してください。「〜すべきである」「〜しなければならない」といった道徳的な考えに強く縛られる思考パターン、いわゆるそれが、常識に囚われた生き方です。まずはその常識を、疑ってみる。疑うことで、自分の思考が次第に解放されていくのを実感してみましょう。
常識から解放されるためにするべきこと
年をとれば常識から解放されるかといえば、そうとも限りません。
一部では、いまだに年老いた親を介護施設に預けることを良しとしない50代の人たちもいますが、「育ててもらったから」という義務感や「年老いた親を介護施設に預けるのはかわいそう」といった感情論で介護を引き受けた結果、その重圧で苦しんでいる人は少なくありません。
症状の軽いうちはまだ何とか対応できても、重症化すると義務感や感情論だけでは親を支え切れなくなり、介護負担が増えるにつれて共倒れになってしまうケースもあります。お互いに助け合える親族が多いならまだしも、そうでないなら介護施設を利用することは、けっして悪いことではないはずです。
それに、一口に介護施設と言ってもいろいろあります。入居条件や施設の中身、費用などはまったく違いますが、たとえば、生活保護を受給している方であっても老人ホームに入ることは可能です。
公的機関や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(特養)、また条件によっては民間が運営する有料老人ホームに入居できるケースもあります。事前にケースワーカーや入居希望の施設に入居条件をきちんと確認しておく必要がありますが、「生活保護だから、老人ホームには入れない」と思い込まずに、まずは調べてみることが大事です。
このように、事前に知っておいたほうがいい情報はたくさんあるのです。常識から解放されるためにも、情報調べは有益です。