※本稿は、和田秀樹『50代うつよけレッスン』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
激しい運動は体にとって害になる
適度な運動や十分な睡眠、ストレスを溜めないことなどがうつ病対策や老化防止で大切なのは、言うまでもありません。
有酸素運動はホルモンの分泌を促し、脳内の神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンが増えることによって、うつ病の症状が改善されるほか、不安を感じにくくなるといった効果があります。
しかし、激しい運動はむしろ体にとって害になりますから、注意が必要です。
たとえば、呼吸が荒くなるような運動は心臓に大きな負担をかけるだけでなく、体内で活性酸素を大量につくり出します。活性酸素は老化や病気を引き起こす原因となりますので、若さをキープしたい場合は好ましくありません。
特に50代以降は、筋肉痛になるような運動や翌日に疲れが残るような運動はやめたほうがいいでしょう。それよりも、適度にできて長く続けられる運動がお勧めです。
たとえば、ウォーキングやジョギング、水中ウォーキング、水泳、サイクリング、太極拳、ヨガなど。バッティングセンターやゴルフの打ちっ放しでもいいのですが、とにかく自分の好きなスポーツや運動をすることが一番です。
とにかく無理なくできて、続けられることをやればいいのです。マインドフルネスもリラックス法もいろいろありますから、自分だったらどんなものが続けられそうかといろいろ試してみることです。
「感情散歩」を日常に取り入れる
多くの人に私がもっともお勧めしているのは、散歩です。
それも、ウォーキングのようにストイックに歩くのではなく、散歩しながら同時にあれやこれやと周りを観察しながら歩く、「感情散歩」がいいのです。
高田純次さんが出演されている「じゅん散歩」(テレビ朝日系列)のように街中をぶらぶら歩きながら、気になるお店に入ってみたり、買い物をしてみたり。「お、この喫茶店、レトロでいい感じだな」とか「ここに新しいラーメン屋ができたのか」「行列ができているから、ちょっと覗いてみよう」などと新しい発見を楽しみながら、街をぶらぶら歩くのです。
私はしょっちゅうそんな散歩をしながら、いろいろな街のラーメン屋さんに入って大好物のラーメンを食べています。こうして自分が楽しめる要素を加えて、散歩と同時に脳と感情を刺激しています。とにかく、食事も運動も持続可能なものにするのが肝心な点です。
通勤や移動の際に電車やバスを早めに降りて、1駅分を余計に歩いてみるなどもいいでしょう。毎日続ければ、1カ月後には立派な習慣になっていることでしょう。運動習慣がないのに、「とりあえずジムに入会したから行かなくてはいけない」という状況は、むしろストレスになりかねません。ストレスは免疫力の低下を招きますから、そんなに辛いことや苦しいことはしないほうがいいのです。