心身ともに健やかな老後を迎えるには何が必要か。精神科医の和田秀樹さんは「60代以降、うつ病のリスクが上がる。あらゆる面で個人差が広がる年代に入ることが大きな要因だ。楽しい老後を迎えられる人には共通点がある」という――。
※本稿は、和田秀樹『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
嫌なこと、苦手な人とは堂々と距離を置いて脳を老化させない
「嫌なことを我慢しない」ということは、賢くなるうえで非常に重要です。
意欲や感情、創造性を司る脳の部位、「前頭葉」は、快の体験を喜びます。反対に言えば、我慢や過度なストレスを感じるような環境は脳にとっては好ましくなく、老化を促すことにつながるのです。
忍耐を美徳とする日本では、昔から、自己主張を控えて人と調和することを尊んできました。しかし、「みんなに合わせなければ悪いから」と、同調圧力に屈して自分を抑えつけてしまうのは、メンタルの面からも、賢くなるという面からも、害にしかなり得ません。
苦手だと感じる人、会ったあと気持ちがもやもやとする人とは、思い切って距離を置きましょう。人との交流は大切ですが、会ってストレスを感じる人と無理に付き合う必要などまったくありません。心に嫌な負担がかかるということは、脳にも嫌な負担がかかるということです。
ぜひ、嫌われる勇気を持ってください。自己主張して疎まれるコミュニティであれば、ためらわずに抜けてよいのです。代わりに、あなたが自分らしくいられるような相手との関係性を深めましょう。
シニア世代の方こそ、自由に人生を謳歌すべきであり、自分が辛いことからは離れるのが鉄則です。長年頑張って生きてきて、やっと手に入れた自由な環境です。ここまできて自分に苦難を強いることに、一体何の意味があるのでしょうか。
自分が自分らしく生きることが何より大切なことなのであり、それが脳と心のアンチエイジングを叶えます。