健康寿命は地域により大きな差がある

1年以内に転んだことがある高齢者の割合が、他の校区(小学校区)より4倍も多い校区がある――。

私たちの研究グループ「日本老年学的評価研究(JAGES)」がおこなっている高齢者の調査から、そんな結果が見えてきました。

そもそも同じ日本でも、地域によって健康寿命に大きな差があることがわかっています。厚生労働省が出した最新のデータ(2019年)によりますと、男性で最も健康寿命が長い都道府県は大分県で、73.72歳。最も短いのは岩手県で71.39歳。女性では最も長いのは三重県の77.58歳で、短いのは京都府の73.68歳。それぞれ2.33年、3.9年もの差があります。

これらのデータから、健康寿命は、その人の住む環境の影響を受けている可能性が考えられるのです。転倒リスクも、地域の環境の影響を受けている可能性があります。まず転倒リスクについて調べてみました。

転ばない街では「スポーツの会」が盛ん

私たちが転んだことがある高齢者の割合を調べたところ、もっとも低い校区で14人に1人(7.4%)だったのに対して、もっとも高い地域では3人に1人(31.1%)と、校区によって4倍もの差がありました。

高齢者が何度も転倒すると骨折したり、そうでなくても寝たきりになりやすく、死亡率も高い傾向にあることがわかっています。

筋力が低下したり、バランスが悪かったり、歩くのが遅かったりする人は転倒しやすくなる。実際に転倒すると、再び転倒する不安から家に閉じこもりがちになり、ますます体力や筋力などが低下して、さらに転倒しやすくなる……そんな悪循環に陥ることも少なくないのです。加えて、閉じこもることでうつや認知症発症のリスクも高くなってしまいます。

住む地域によって、転ぶ人の割合にこんなにも大きな差がなぜ生まれるのでしょうか。

調べてみると、転ぶ人が少ない地域に住む高齢者には、いくつか共通点がありました。なかでも私が注目しているのは、下のグラフの「スポーツの会に週1回以上参加している人の割合が多い」というデータです。それも後述のように、スポーツの「会」に参加して他の人々と一緒におこなうことが、重要なポイントなのです。

ちなみに同じ調査では、高齢者の「うつ」や「認知症リスク」と、その人の趣味にまつわる行動との相関関係についても調べています。その結果、「趣味関係のグループへの参加」など、人と一緒におこなう趣味を持つ人のほうが、うつや認知症リスクが低いこともわかっています。