海外ビジネスを行ううえで大きな教訓となっているのが、イスラム教徒が多いインドネシアで00年に起きた「ハラール」(イスラム教徒が食べてもよいもの)の問題だ。製品の製造過程で、イスラム教で禁忌とされている豚由来の成分が使われていたとして問題になったのだ。当時、社長自らが毎朝現地スタッフとテレビ会議で協議することで、事態はようやく収束に向かったという。


ガーナの村人約200人の協力を得て、栄養強化食品(試作品)の味覚評価を行った。

「(豚由来の成分が)製品に含まれていたわけではなかったのですが、日本人と現地の人の感覚の違いを、理解しきれていなかったことが根底にあったと思います。特に宗教のようなセンシティブな問題なのに、感度不足だったのでしょう」と中尾氏は振り返る。

日本人の感覚では簡単に理解できない宗教や文化、貧困の問題などについては、「とにかく最初に洗い出しておくことの大切さを感じている」という。

「特に乳幼児を対象としているので、事故は許されない。できるだけ早く進めたい気持ちはありますが、じっくり石橋を叩いて叩いて、慎重にリスクを取り除く必要があるのです」

ここでも頼りになるのは現地のパートナーだ。

「一口にガーナといっても、北部はイスラム教徒が多く比較的貧しい、南部はキリスト教徒が多く北部に比べると豊か、など状況はさまざまです。ガーナ大学や現地のNGOから丁寧に情報収集を行いながらプロジェクトを進めています」