味の素社内では、CSR部のほか、研究開発部、アミノ酸事業開発企画部、海外食品部など複数部門から約10人がプロジェクトに参加。中尾氏を含むCSR部の2人と研究開発企画部の1人が専任のほかは兼務で、月1回の会議で意見交換をしている。普段は、ガーナ大学やNGOも交え、メールでのコミュニケーションが中心だ。もちろん英語である。

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文化・言語・習慣の異なる組織をまとめるコツ

通常の新規事業であれば、ここまでCSR部が深く関わることはない。CSR部がNGO、NPOなどの非営利セクターと事業部との間に立ち、「クッションの役割を担っている」と中尾氏は話す。

事業部門は、売り上げや利益といった短期的な結果を求めがちだ。一方NGOなどは、長期的な目標を掲げて動く。

「NGOの考え方もわかり、企業内の事業部門の考え方もわかる」CSR部が間に入ることで、違いを乗り越えてプロジェクトを進めるのに役立っているのだ。

コミュニケーションで意識しているのは、「階層構造をつくらないこと」。あくまでもプロジェクトの主体はガーナなのである。

「味の素はプロジェクトのリーダーではなく、コーディネーター。NGOは下請けではないんです。たとえば、現地で女性の起業家を育成して商品を販売するという段階になったら、ガーナのNGOがリーダーになるべきかもしれません」

特にこれまでビジネスで関わったことのない相手に対しては、情報を抱え込んで一方的にプロジェクトを進める方向に動きがちだが、味の素の場合は「情報をどんどん共有するよう心がけている」という。「確かに情報を出すことにはリスクが伴いますが、創造的な意見を得られることも多い」と中尾氏は話す。