6万円のアパートの近くに35万円のマンション
日本において、都市の中の格差がもっとも大きく現れている場所が東京です。私が見る限り、東京は二極化した都市になろうとしています。
たとえば赤坂だったら、溜池山王の駅で降りると、すぐ近くにコーヒーチェーン店があって、300円代でコーヒーが飲めます。ちょっと裏に行ったら牛丼屋さんもあって、ワンコインで昼食を食べられる。しかし同じ赤坂でも、某有名ホテルで夕飯にラーメン一杯食べたら5000円にもなります。夜の中華コースで一番安いものでも、税込みで1万8000円です。
同じ街でこれだけ飲食料金が違っているというのは、それだけ二極化が進んでいる証拠です。
住宅の話でいえば、私が住んでいる四谷界隈では、風呂つきの25平方メートルくらいのそこそこの木造アパートが、6〜7万円台で借りられます。もっと広い58平方メートルなら、22万円くらいの値段になり、3LDKで85平方メートルくらいになると、35万円くらいになります。
100平方メートルを超える賃貸物件は四谷近辺にはあまりないので、購入するしかありません。購入すると2億5000万円くらいはかかります。
移民コミュニティとどう向き合っていくか
四谷は環境もいいので、夢を持っている若者たちは、6万円台でワンルームを借り、低賃金の労働に甘んじて働いていても、なんとか何年かがんばってみようかということになるわけです。そういう住宅が点在していて、ファミリータイプの住宅も存在しているから、たぶん四谷はスラム化しないのでは、と私は思います。
赤坂や四谷の例でわかるように、東京の都心がスラム化する可能性は少ないのですが、東京周辺の都市はスラム化する可能性が高いと思います。
東京の隣接県のいくつかの都市では、スラム化と密接に関係のある「移民」の問題が存在しています。そういうところには、さまざまな外国人が住むようになってきています。中国人、韓国人は以前からの住民も多いですが、たとえばクルド人が特定の場所(おもに埼玉県の川口市など)に住んで、独特なコミュニティをつくっています。またウクライナから来た難民も、特別なコミュニティをつくっています。
こうしたコミュニティには正規の移民だけでなく、非正規の移民も多数存在しているのが現実です。外国人問題、より正確にいえば移民問題は、これから日本でもどんどん表面化していくに違いありません。