日本は世界有数の移民受け入れ国に

移民についてオランダのマーストリヒト大学教授のカリド・コーザーは『移民をどう考えるか』の中で、「増えつつある非正規移民を、政治家と一般国民が、時に国家主権と公共の安全に対する脅威だとみなすことがある。多くの移民先の社会では、移民コミュニティの存在、その中でもとくに過激主義と暴力に関連のある地域出身で、なじみの薄い文化を持つ移民コミュニティに対する恐怖心が高まっている」という問題点を指摘しています。

日本において、たとえば、イスラム過激派が拠点を築いたというニュースを私はまだ耳にしたことはありませんが、移民のコミュニティが反社会的集団と化して、違法ドラッグの販売や売春の斡旋などで不当な利益を上げているケースも少なくない現実が存在しています。

また、日本の移民の人数は毎年増加しています。ジャーナリストの望月優大が『ふたつの日本――「移民国家」の建前と現実』で書いていますが、日本は2015年の統計で、世界第7位の移民受け入れ国で、すでに約260万人の外国人が住む国となっています。この人数はさらに増えていく可能性が高いでしょう。

靴とバックパックを持った男が日本の国旗と国境の隣のアスファルトの上に立っている
写真=iStock.com/mirsad sarajlic
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政府は移民の権利と義務をはっきりさせるべき

しかしながら、望月も指摘していますが、移民をどう受け入れていくかというはっきりとした政策を日本政府は打ち出しておらず、違法滞在の外国人への対応でもしばしば批判されています。

2021年に起きたスリランカ国籍のウィシュマさん死亡事件でも、入管施設の非人道的な対応が大きな問題となりました。日本政府は外国人や移民の権利や義務を認めて、その権利や義務の内容を明らかにしなければならないと思います。

自由主義経済の原理がある以上、外国人も移民も経済の原理で入ってきます。それを阻止することはできません。

ところで、日本とイスラム系の国との関係という点において、これから重要となるのはマレーシアとインドネシアになる可能性が高いと私は思います。