「仕事はできないなんて許されない」
PTAの今後について話し合っているときのことだ。同じマンションに、障害がある兄弟を育てている保護者や、親の介護をしている保護者もいたことから、ヨウコさんはこう提案した。
「PTAの仕事をやりたくても無理がある人たちもいるから、会費だけ払ってもらい、仕事を免除したり、減らしたりしたらどうか」
Aさんは「無理」と一蹴、「会費は払うけど仕事はできないなんて許されない。PTAに入らない親の子どもは『差別しなくちゃダメだ』と言ったんです」(同)。
そんなPTAはいらない
Aさんの「差別」は続いた。災害に備えて水や缶パンなどの防災備蓄品をPTA予算で購入することを検討したときはこう言った。
「PTAに入っている家庭の子どもには配るけれど、PTAに入っていない子どもにはあげない」
市のスポーツ大会に出場する6年生のユニホームをPTA予算で買い替える話が出たときは、こう言った。
「この子の親はPTAに入っていないから、新しいユニホームは着せられない」
ヨウコさんは言う。
「こんなPTAは子どもたちのための組織ではない、ですよね」
結局、ヨウコさんは精神的に参ってしまい、本部役員を退任した。ヨウコさんはせつせつと語る。
「PTAは子どもを差別してはいけない。そんなPTAはいらないと思います」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)
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