マルチタスクをこなせる人は「No」も言える
マルチタスクをそつなくこなし続けることができる人について、もう一つ私が他に感じることは、仕事として自分がやるべきこと、自分ができること、自分の仕事ではないことなどをちゃんとわかっているだけでなく、必要な時はNoと言えています。そして、自分がやるべき仕事をマルチにこなしているのです。決して、やらないでいいことを自分の業務にはしていません。
一方、Noと言えない人は、本来ならばやらなくてもいい業務や自分が不得意(で他人が得意)な業務も抱えてしまう傾向にあります。これでは、なかなか本来すべき過多な業務に全能力を集中できません。
以上の話をすると、Aさんは何か思うところがあったようでした。
数カ月後、少し元気な顔をしてAさんはまた産業医面談にきてくれました。
今はもう早期覚醒はないようです。初めての昇進で頑張らなくてはと思い、必要以上に仕事を受け入れてしまっているかもしれないと気がついたこと、今は、メリハリを持って仕事はしていること、新人時代と同じように業務ごとのToDoリストを日々のカレンダーに入れるのはやめて、もう少しまとめた業務としてとらえ、なるべくリストの数を減らすように心がけているとのことでした。
産業医として、Aさんのこの先の成長が楽しみに感じています。