23時以降は働かない、午後も1度は休憩する
しかし、抽象度が高いだけでは外資系企業のマルチタスクをこなし続けることができるとは限りません。
私は過去に何度か、邦人企業からヘッドハンティングされて、外資系企業にきた社員に、入社した企業の印象を聞いたことがあります。社員たちは「元の会社の10年が、この会社では3年でした」とか、「元の会社の3人分をこの会社では皆一人で普通にこなしています」と答えていました。
では、外資系企業の過多な業務(マルチタスク)を、そつなくこなしている人たちは何が違うのでしょうか。
Bさんは同じ会社のもっと忙しいとされる部署で働く30代の男性でした。何度か検診結果の相談で産業医面談にきてくれていたので、ある産業医面談で私から、「今の忙しい部署で10年間働き続けられたのってすごいと思うけど、何か意識していることってあるの?」と聞きました。
するとBさんは、仕事が多く忙しいことは仕方がないと思っていること、最近は在宅でも仕事ができるが、23時以降は意地でも仕事をしないようにしていることを教えてくれました。そうやってオフをしっかり取らないと、働き続けられないと考えているようです。また、日中は疲れないのかを聞いてみると、お昼休み以外に、午後から夕方にかけて一度は必ず休憩を入れているとのことでした。Bさん曰く、「ずっと働き続けるのは無理だから、休み休みやっています」とのことでした。
仕事に緩急をつけ、作戦を立てて臨んでいる
マルチタスクをそつなくこなし続けることができる人は、タフで多忙な時間を乗り越えるためにも、しっかりとオフを取れています。さらに、仕事とプライベート(オンとオフ)の切り替えだけでなく、仕事の中でも緩急をつけることができています。
マラソンだって、途中途中で給水しなければ走り続けることはできませんし、いいタイムを出そうと思ったら、緩急をつけてペース配分を考えて走る必要があります。筋トレだって、インターバル(休憩)を十分取らなければ、自分のベストは出せません。また、自己ベストを更新し続けるためには、トレーニングのタイミングなどにも気を配るなどしなければなりません。
仕事も同じです。抽象度の高い視点で業務を捉えることができても、やるべき工程数は変わりません。だからこそ、オンとオフのメリハリ、それぞれの業務のタイミング(会社でやるか在宅勤務時にやるか、日中にやるか静かな始業前にやるかなど)に気を配って作戦を立てる必要があるのです。