こんな入試を突破した子どもが会社に入ってくる

ここでは、私立中学校の入学試験で出題された問題をいくつか紹介します。

どれも、各教科50分程度の制限時間内に解かねばならない複数の設問のうちの一部ですから、だいたい10分くらいで正解に行き着く必要があります。

一方で、各教科とも試験問題そのものが長文化する傾向にあり、問題文を読み解くだけでも大変です。

実際に挑戦してみれば、その難しさに舌を巻き、みなさんの時代との違いに驚かずにはいられないでしょう。

小学生の頃から、こういう問題に取り組んできた子どもたちが、遠からずみなさんの勤める会社にも入ってくるのです。ぜひ、知っておいてください。

出題例1 慶應義塾湘南藤沢中等部 【国語/2022年度】

問題
【四】次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

2021年オリンピック・パラリンピック東京大会で、日本のソフトボールチームは金メダルを獲得しました。そこで興味深い一戦があったのを覚えている人はいるでしょうか。それは《勝っても負けても結果に影響のない試合》です。

ソフトボールの決勝・3位決定戦進出ルールは、《参加全6カ国で予選リーグをおこない、その上位2チームが決勝戦に進出し、3位と4位のチームが3位決定戦に進出する》というものでした。では、何が起きたのか説明するために、日本チームの結果を見てみましょう。

予選リーグ第1戦 日本 8対1 オーストラリア
予選リーグ第2戦 日本 3対2 メキシコ
予選リーグ第3戦 日本 5対0 イタリア
予選リーグ第4戦 日本 1対0 カナダ
予選リーグ第5戦 日本 1対2 アメリカ
決勝 日本 2対0 アメリカ

この通り、ソフトボールチームは全勝優勝したわけではありませんでした。実は、第4戦終了時点で決勝に進出するのは全勝同士の日本とアメリカだと決定していました。つまり、予選リーグの第5戦は、偶然決勝と同じ顔合わせでありながら、試合が始まる前から《どちらの国が勝っても負けてもその後の対戦相手に変化がない試合》となったのです。(3位決定戦はメキシコ対カナダでした。)

いずれにせよ、日米両国にとって肝心なのは決勝を全力で勝つことだけなのです。「第5戦」を取ったアメリカにも優勝のチャンスはもちろんありました。しかし勝ち続けるのは難しいことです。実際アメリカは6連勝できませんでした。

こう考えると、事後あまり顧みられることの多くなかった「第5戦」ほど、どう心がけたらよいか絞りにくく、複雑な試合もありませんでした。

このコントロールしにくい「第5戦」はどう戦うのが正解なのでしょうか。

問 あなたがもしもこの「第5戦」日本チームの監督と同じ立場に置かれたら、この試合にどのような方針で臨みますか。また、その方針を試合前の選手に何と伝えますか。140字以内で述べなさい。

※原稿用紙の使い方に従って書くこと。ただし、1マス目から書き始め、改段落はしないこと。