答えが一つではない問題が増えている
さて、12歳の子どもたちが挑戦している中学校の入試問題を、みなさんはどれくらい解けたでしょうか。もしかしたら、そのレベルの高さに、軽くショックを受けたかもしれませんね。
最近の傾向として顕著なのは、答えが一つではない問題、思考プロセスを問われる問題が増えていることです。
私が塾経営に乗り出した当初は、まだまだ知識偏重の試験がほとんどで、知識が多い子から順番に偏差値の高い中学校に入っていくのが普通でした。言ってみれば、徹底的に知識さえつければ、どこの入試にも対応できました。
しかし、今はそんなやり方は通用しません。
もちろん出題例2、3のように知識を問うことを大切にしている学校もまだたくさんありますし、知識は学力の基礎になるので、その学習は必要です。しかし、親は子どもに知識をつけさせるだけではダメで、そこに存在し得る問題を掘り出し、一緒に考えていくことをしなければなりません。
「知識型」か「知恵型」か、道は二つある
たとえば、日本企業が開発しているロケットについて取り上げるとしましょう。
これまでだったら、中学受験で問われるのは、ロケットや開発者、打ち上げられた土地の名前など知識が中心でした。
でも、これからは、「なぜ種子島や串本町から打ち上げるのか」「ロケットを開発することの問題と将来性について述べよ」「あなたが開発者なら、なにをロケットに乗せるか」「どういう実験を最優先するか」「失敗したときに、あなたならどう説明するか」などという問題が出るかもしれません。
こうした現状にあって、中学受験をするか否かは別にして、これからの子どもには(もちろん、みなさん自身にも)ロジカルに物事を説明できる能力が必須となります。
普段からニュース番組を見ているときなどに、単純に「おお、ロケットすごいね」と感激しているだけでなく、「なぜ種子島と串本町なのか」を疑問に思い、親子で調べ、「一刻も早く赤道の軌道に乗せないといけないからだね」ということを共有していくような環境を構築していきましょう。
「知識型」の問題を得意とする子と、「知恵型」の問題を得意とする子と、受験において生きる道は常に二つあるのです。