美しい石の街ザンジバルの都市文化
私がまだ訪れたことのない世界遺産の中で、行ってみたいと思っている街のひとつ、タンザニア・ザンジバルの石の街の風景を、たぶん最初に見たのは巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画『シェルタリング・スカイ』(ポール・ボウルズ原作)の中ではなかったかと思います。
東アフリカのスワヒリ語圏にある沿岸貿易都市の代表的かつ最も美しい例として知られています。都市の枠組み、街並みがほぼ変化なく維持され、アフリカ、アラブ地域、インド、ヨーロッパの異なる文化的要素を1000年以上にわたって吸収した独特の文化を反映する、多くの素晴らしい建物が含まれています。それ以前の先住民族の文化的要素も維持されており、この地域に特有の都市文化を形成しました。
建物は、主にサンゴ石灰石とマングローブ材を使ったもので、狭い廊下を通って広い中庭の周囲に配された細長い部屋の続く2階建ての家は「ザンジバル」ドアと呼ばれる細かい彫刻の施された二重扉や、広いベランダ、内部の装飾などが特徴的です。
平屋のスワヒリタイプの家と、ファサードが狭いインドの店舗など、商業地帯である「ドゥカ」の周囲に建設された「バザール」通りに沿ってみられる街の風景も見どころのようです。
アフリカとアジアの貿易活動を映した多彩さ
ザンジバルの主要な建築物は18世紀と19世紀のものが多く、ポルトガル教会の敷地内に建てられた旧砦、ハウスオブワンダー、スルタン・バルガシュによって建てられた儀式宮殿、聖ヨセフのカトリック大聖堂、奴隷貿易廃止を記念して最後の奴隷市場の跡地に建設されたクライストチャーチ聖公会大聖堂、奴隷貿易商人ティップ・チップの住居、マリンディ・バムナラ・モスク、王家の墓地、ペルシア浴場など多彩です。
狭く曲がりくねった道、海岸に面した大邸宅、公共空間と共に、これらの建物はアフリカとアジアを結ぶ貿易活動を反映した例外的な都市集落を形成しています。
特にこの石の街は、歴史的に東アフリカが奴隷貿易の一大地であり、奴隷取引に終止符が打たれた場所であることも、登録理由に含まれています。