正社員である妻の「被扶養者」になる選択肢もあったが…
保険料以外にも「給付サービスを確認してほしい」と内藤氏が続ける。
「組合健保によっては1カ月あたりの医療費自己負担上限額が2万~3万円で済むところもありますし、そのほか健康診断などのサービスが安く利用できることもあります。任意継続でも引き続きそういった付加給付やサービスが利用できるところが少なくありません」
退職後、もうひとつの選択肢として配偶者や子どもなどが会社員として社会保険に加入していれば「被扶養者」になるという選択肢がある。前出の60代男性も自身が退職した後も、妻が正社員として勤務していたため、被扶養者になる選択肢が頭をよぎったという。しかし、被扶養者になるためには年収130万円未満(60~74歳は180万円未満)という要件がある。「家計の状況から自分がまったく収入を得ないことはできない」と、諦めた。
ちなみに失業給付(雇用保険の基本手当)も収入認定がされ、その給付を受けている間は扶養に入れないケースがある。ここがクリアされ、「被扶養者」になれれば世帯で健康保険料の負担が増えないだろう。
職場の健康保険に加入すれば、国保料より安くなる
退職後の選択肢は「任意継続の選択」「国保への加入」「被扶養者になる」の3つだが、じつはもうひとつ、「再就職」という手段もある。内藤氏は「『106万円の壁』を超えるような働き方をするのもいい」と提案する。
「一般的には週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人が社会保険の加入対象です。ですが、短時間勤務のパートやアルバイトであっても、従業員規模が101人以上の企業等で〈週の所定労働時間が20時間以上、2カ月を超える雇用の見込みがあり、賃金月額が8万8000円以上、学生ではない〉なら、社会保険の加入対象となっています。今年10月以降は従業員規模が51人以上の企業から対象になるので、社会保険に加入できる範囲が広がります」
職場の健康保険に加入すれば、国保料より安くなることはほぼ確実だ。
それでは現在国保に加入している人が保険料を下げるにはどうすればいいか。次回、おさえておきたい3つのことを紹介する。(続く第5回は6月28日10時公開)