2022年~23年にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、この夏に読み直したい「2024夏のイチオシ」をお届けします――。(初公開日:2022年9月12日)
都内で災害リスクの低い場所とはどんなところか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「東京は起伏が激しいため、高台の高級住宅地でも、局所的な低地となっていて浸水リスクを抱えるところがある。そうした意外なリスクは地名に隠されていることが多い」という――。
「サンズイ」の土地は洪水リスクに注意
地名には、その地域の歴史が刻まれています。
「池」や「川」「河」「滝」「堤」「谷」など、「サンズイ」の漢字が入っているか、水をイメージさせる地名は、低地であることが多く、かつては文字どおり川や沼、池、湿地帯だった可能性があります。
例えば東京の渋谷駅周辺は、低地で、舗装された道路の下には川が流れており、地盤も弱いのです。
また「崎」という漢字の地名は、大昔の縄文時代など、いまよりも海面が高かった時代に、海と陸地の境目だった可能性があり、地盤が強いところと弱いところが入り組んでいる場合があります。
かつての荻窪は「荻が自生する湿地」
杉並区荻窪の「荻(オギ)」とは、湿地に育つイネ科の植物のことです。このあたり一帯は、古くは「荻」が自生する湿地だったのです。
また、荻窪の「窪(クボ)」は文字通り窪地を表しています。
このあたりは、中心を流れている善福寺川の氾濫で、繰り返し浸水の被害が発生している土地なのです。
同様に、新宿区大久保や、国分寺市恋ケ窪などもかつては窪地でした。
また、中野区沼袋は、文字通りの低湿地で沼地があったとされる場所です。
ほかにも、目黒区には蛇崩という地名があります。ここはかつて蛇崩川という河川がありましたが、現在は暗渠となっています。
この蛇崩は、大水で崖が崩れ、そこから大蛇が出てきたという伝説が残されている土地になります。
ほか、大阪市梅田は、「埋田」から転じた地名で、もともとは低湿地帯だったのを、豊臣秀吉が埋め立てて田畑に変わった土地だと伝えられています。
このように、地名の「梅」は「埋める」に通じる場合があるようです。