仕事の問題解決に必要なことは何か。起業家のポール・ホーケンさんは「ビジネスに定石はなく、問題は常にあることが当たり前である。巷にあるビジネス書の最大の罪はTODOリスト、なんとかの10か条など『確かさ』を金科玉条にしてしまったことだ。本書の読者にぼくが伝えたい原理原則はたった一つ、『自分の頭で考えよう』ということだけである」という――。

※本稿は、ポール・ホーケン『ビジネスを育てる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

ノートに書かれたTODOリスト
写真=iStock.com/amnarj2006
※写真はイメージです

問題が常にあることが当たり前

数年前の秋の土曜日のこと。秋の行楽シーズンを楽しむ人出でにぎわう世の中を横目に、ぼくは一人、オフィスで仕事をしていた。いまとなっては何だったのか忘れたが、ある問題の解決に取り組んでいた。

その問題は、当時ぼくが課題としていた数百のうちの一つだ。

ぼくはいつものやり方で取り組もうとした。解決し、二度と再発しないようにするには。

何年もの間、ぼくはまるで「永遠の解決」という名前のうさぎを追い狙う猟犬のような姿勢で問題に取り組んできた。

いま少し熱心に、いま少し長く、いま少し創造的に取り組めば「うさぎ」を捕まえることができる。そして完璧なビジネスができるようになる。そう信じていた。

ビジネスの悟りを開き、暗闇の中から光あふれる至福の世界に飛び出ることができる。月曜の朝がいつも楽しみで満ちるようになる。

ぼくは間違っていた。

たしかにその日、ぼくは悟りを開いた。天啓を得た。ただ、それは思い描いていたものとはまったく正反対の内容だった。その美しい午後、まさに真実に目覚めたんだ。

「問題が解決し、すべてなくなることはなく、逆に、問題が常にあることが当たり前なのだ」

実のところ、問題があるということは、その会社が学び盛りのステージにあることの証左なのである。この新事実に出会って、ぼくは自由になった。