「あの世での幸福を得るために祈りなさい」

そして、仏教やキリスト教といった確立した宗教からのお誘いもあった。

ちゃんとした宗教だから、アドバイスはしっかりしているのだが、私が違和感を禁じえなかったのは、「あの世での幸福を得るために祈りなさい」としていたところだ。

私は、あの世の存在を信じていない。いまの人生が終わったら、元の木阿弥もくあみ、何一つ残らないと考えている。

それではなぜ、宗教があの世の存在をアピールするのかというと、信者に現世での幸福をもたらそうと考えているからだ。

ほとんどの信者はつらい人生を送っている。それを直接改善することは、どんな宗教でも容易ではない。

そこで「いま祈っておけば、来世での幸福が訪れますよ」と言って希望を与える。その希望が信者の現世での生きがいとなって、現世もまた幸福になるのだ。

ところが、私は来世の存在を信じていない。現世の暮らしも、やりたいことをやってきた。だから、現世での暮らしがつらいとか苦しいとか感じていないのだ。

そうした人間に宗教は不要だ。

送られてきた「お守り」

ただ、ちょっとだけ嬉しかったことがある。それは多くの人がお守りを送ってきてくれたことだ。いま私の寝室には、送られてきたお守りがずらりと並んで吊り下げられている。

多くの人がお守りを送ってきてくれた
写真=iStock.com/ksbank
多くの人がお守りを送ってきてくれた(※写真はイメージです)

最初にお守りを送ってきてくれたのは、上島竜兵さんの奥さまの広川ひかるさんだった。ラジオで一度共演させていただいた関係だ。お手紙には書いてなかったが、おそらくご主人を亡くされた経験を踏まえて、私に生き延びてほしいと思われたのだろう。

お笑い芸人のみほとけさんは、わざわざ奈良の大安寺だいあんじに出かけて、祈祷きとうを受けたお札を持ってきてくださった。

みほとけさんは、お笑い芸人であると同時に仏教の専門家で、大安寺はがん封じで有名なお寺だ。ちなみに、御祈祷はサブスク方式になっていて、お寺に電話などで連絡すると、1年のあいだ何度でも祈祷を繰り返してくれる仕組みになっているそうだ。