マルチ商法を採用する健康食品メーカー

さらに月額負担が数万円程度という金額でも、マルチ商法を採用している健康食品メーカーがある。

がんに効くという健康食品を買うためには、その会社に会員登録をしないといけない。会員登録をすると、自ら健康食品を定期購入する必要が出てくるだけでなく、健康食品を世のなかに普及させる義務を負う。

そして、新規顧客を獲得すれば、メーカーから一定の報酬が支払われるという仕組みだ。

私はマルチ商法の片棒をかつぐ気持ちをまったく持っていない。

マルチ商法を採用する健康食品メーカーがある
写真=iStock.com/marchmeena29
マルチ商法を採用する健康食品メーカーがある(※写真はイメージです)

まだまだわかっていないことが多い

なぜ、がん治療に関して、こうした百家争鳴ひゃっかそうめいのような状況が起きているのかというと、がんの治療に関しては、まだまだわかっていないことが多いからだと思う。

実際、がんには特効薬がない。たとえば、A型インフルエンザの患者に治療薬のタミフルを投与すると、発熱期間を1日短縮するということが統計的に明らかになっている。

また臨床面でいうと、大部分の患者が、投与後すぐに症状が改善すると医師は言う。

ところが、がんの場合はそうはいかない。

効果がすぐに出ることはないし、同じ治療をしても、患者によって効果を発揮する人としない人が明確に分かれるのだ。