経済アナリストの森永卓郎さんは2023年12月にすい臓がんのステージIVであることを公表した。がん治療にはどれくらいの費用がかかるのか。闘病生活をまとめた書籍『がん闘病日記』(三五館シンシャ)より、がん治療にかかるお金の解説をお届けする――。

コピーミスでがん細胞が生まれる

私は医学の専門家ではないので、あくまでもイメージとしてとらえてほしいのだが、私の頭のなかでは、がんという病気は、次のようなものとして整理されている。

人間の体のなかでは、新陳代謝のために、古い細胞のデータをコピーして、新しい細胞が作られる。その際、まれにコピーミスが起き、本来と違う細胞が生まれてしまう。それが、がん細胞だ。

コピーミスでがん細胞が生まれる
写真=iStock.com/monzenmachi
コピーミスでがん細胞が生まれる(※写真はイメージです)

がん細胞は、毎日、誰の体にも数多く生まれているが、それが問題になることは少ない。体のなかに存在する免疫細胞ががん細胞を攻撃し、消滅させてしまうからだ。

つまり、体の中では、つねに免疫細胞軍団とがん細胞軍団が対峙し、ふだんは免疫細胞軍団のほうが優勢なのだ。

オプジーボは免疫細胞が浴びた泥を洗い流す

ところが、なんらかの理由で免疫細胞軍団の力が弱まってくると、がん細胞軍団が一気呵成に攻めてくる。

がん細胞は、武器として泥団子を持っており、それを免疫細胞軍団にぶつけてくる。

泥を浴びた免疫細胞は身動きができなくなり、がん細胞軍団が優勢になる。それががんの発病だ。

オプジーボは、免疫細胞が浴びた泥を洗い流す役割を持っている。

泥がなくなって身動きがとれるようにして、再びがん細胞軍団との戦いの舞台に戻していくのだ。