その2──人を採用するときの「参考」にする

採用は直感が決定の助けになりうるもう1つの分野である。私は先だって6人の企業幹部に、最も難しいと感じる意思決定はどのようなものかと尋ねてみた。6人全員が、それは人に関する決定だと答えた。人の採用で間違った決定を下すことが1番多いというのである。

採用の決定を間違えることが多いという彼らの話は、驚くべきことではない。履歴書は好印象を与えることを目的としており、紹介状は必ずしも真実を述べてはいないし、しかも多くの求職者は徹底的に準備しているので、彼らの答えはすべて当を得ているのだ。

CRDのランベルタスは、こうした状況では直感に頼ることにしており、直感を他の情報源と併せて利用している。「履歴書も経験もよさそうに見え、紹介状も申し分ない候補者と面接しているとき、直感がこの人物はどうもしっくりこないと告げることがある。それが何なのか特定はできないけれど、何かがよくないわけだ」。

人についての直感的印象は、採用時にはたしかに助けになることがあるが、(法的トラブルにまでは至らないにしても)まずい決定に導くこともある。多くの人が類似性のバイアスにとらわれて、人種、性別、社会階層などの点で自分と似通った人物を無意識のうちに選ぶ傾向がある。そのため、求職者について直感が告げることは、客観的評価と組み合わせることで調整する必要がある。

ランベルタスによると、彼の会社では管理職ポジションへの求職者を評価する際には、採用担当幹部は「4つのE」を検討することにしている。「この人物にはエネルギー(energy)があるか」「この人物は他の人々を元気づける(energize)ことができるか」「この人物は計画を実行(execute)できるか」「この人物は強さ(edge)、すなわち困難な状況で成功するために必要なタフさを備えているか」である。4つのEは、直感的印象と組み合わせることで、直感で感じてはいるがうまく言葉にはできない候補者の特性を具体的にとらえるのに役立つと、ランベルタスは確信している。

結局「内なる声」に耳を傾けるべきか

さて、内なる声が聞こえてきたときには、その声に耳を傾けるべきか。答えは「イエス」である。

内なる声とその背後にある多くの経験や無意識の記憶を素直に受け入れよう。それと同時に、ロナルド・レーガンの有名な言葉「信頼せよ、されど検証せよ」の両方のアドバイスに従うことも忘れてはならない。

(翻訳=ディプロマット)
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