いざという時の「助っ人」を確保しておく
(5)弁護士や警察と日々良好な関係を構築しておく
カスハラ客からの要望が理不尽なあまり警察を呼んだとしても、場合によっては「民事不介入」を理由に充分な対応をしてくれないことがある。また、弁護士に対処を依頼するとしても、悪質なクレーマーは対応に手間がかかり、逆恨みを受けて弁護士自身も危険な目に遭うリスクが高く、弁護士費用とのバランスで考えれば、「あまり受けたくない仕事」として消極的になってしまうケースもある。それでは肝心なときに企業やお店は大切な従業員を守ることができない。
そのためには、日々地域活動に協力して警察とのパイプを太くしておき、「こういうときはどうしたらいいですか」と相談を重ね、「何かあったら気軽に連絡してください」「パトロールのコースにそちらの店舗を入れておきます」と言われるくらいの信頼関係を構築しておくことだ。
弁護士も同様。いきなり一見で押しかけてややこしい案件を持ってきても対処に困ってしまうが、日々のお金をケチらずに顧問契約を結んでおき、自社のビジネスと顧客層についてよく理解してもらえれば、適切な対処法もアドバイスしてもらえるし、いざとなったらカスハラ客に対して『今後一切の連絡を禁止、要件は文書にて当方へ』と通知してもらえることになる。
企業にはカスタマーハラスメントから社員を守る義務がある。ぜひ企業やお店は悪質客から従業員を守る措置を今日からでも実施してほしい。まずは接客担当者の名札に本名を出さず、イニシャルやニックネームにするところからではいかがだろう。