今日からできるカスハラ対応5ステップ
では、組織ぐるみで「毅然とした対応」をとるために、企業や店はどのような準備をしておけばよいのだろうか。具体的なステップに分けて解説しよう。
(1)組織トップから明確なメッセージを発信する
まずは組織トップから、「カスハラは許されないことであり、組織として全従業員をカスハラから守る」という基本姿勢を直接発信するとともに、対外的にもメッセージを出すことが有効だ。「お客様は神様ではありません」「理不尽なクレームや要求には、毅然とした対応をとり、場合によっては乗車をお断りいたします」と広告した秋田県の観光バス社も話題になった。
(2)カスハラ被害に遭った従業員のための相談窓口を設置する
新規で特別に設ける必要はなく、既存のパワハラやセクハラの対応窓口(担当者)が対応し、被害者の相談に乗り、被害者の上司や人事部門、法務部門、外部機関(顧問弁護士など)と連携できるような体制を構築しておければ有効である。
普通のクレームと悪質クレームの線引き
(3)カスハラ対応マニュアルを整備する
ビジネス形態や各社の顧客対応指針によって対処方法に違いはあれども、その場に管理監督者が不在の場合であっても、現場従業員のみで適切な対応ができるようにマニュアルが共有されていることが望ましい。とくに、一般的なクレームと悪質クレーム、カスハラとの線引き基準を明示しておき、顧客の要求がその一線を越えた場合にどのような対応をとるべきか、誰が見ても分かる状態になっていることが望まれる。
カスハラに該当する過剰要求の判断ライン(例)
・欠陥があった商品の代金より、高額な賠償を要求
・謝罪として土下座を要求
・従業員の解雇を求める
・自社製品以外の要求
・不当な返品要求(返品期限を過ぎている返品など)
・実現不可能な要求(法律を変える、子どもを泣き止ませるなど)
・発生した事象に対応したにもかかわらず、社長や企業トップを出せという要求