発売開始7年間で毎年ヒットタイトルを出し続けた

かくしてソフトウェアによる「勢い」を確保したSwitchは、ローンチから1年経過する2018年以降も、次々にヒット作を販売してはその「勢い」を維持し続けてきた。

プレスリリースより
プレスリリースより

2018年には『スーパーマリオパーティ』のような鉄板シリーズに、シリーズ最大の規模を誇る『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』を発売。さらにペーパークラフトによってSwitchそのものを新しい玩具へ仕立てる「Nintendo Labo」シリーズなど斬新なシリーズによって話題も維持した。

2019年には『スーパーマリオメーカー2』に加え、『ポケットモンスター ソード・シールド』によって新しい風を呼び込みながら、2020年にはニュースや新聞にも頻出した『あつまれ どうぶつの森』を発売。同時期、コロナ禍による「巣ごもり需要」が高まったこともあいまって、Switchの「勢い」は最盛を迎える。

それ以降も2021年には『モンスターハンター ライズ』『スーパーマリオ 3Dワールド+フューリーワールド』、2022年には『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』『スプラトゥーン3』、2023年には『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』『ピクミン4』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』と、任天堂は必ず毎年ヒットタイトルを生み出し「勢い」を維持し続けた。

その結果、Switchは性能的に限界が見え隠れする中でも、発売から7年経過する今となってもコンソールゲームビジネスの中心に居座り、任天堂史上最も売れたゲームハードとしての伝説を築き上げた。これがSwitchの評価となる。

「Switch後継機」の成功には良質で豊富なソフトが必須

さて、ここまで論じたことを踏まえ、Switchの後継機となるゲームハードについての展望も少し論じたい。

現状「Switch後継機」の情報は全くといっていいほどなく、その性能やコンセプトについて考えても、あまり建設的とは思えない。しかしこのSwitchの成功を鑑みるに、必ず問われることを確信できるのが、やはりゲームソフト、それも任天堂独自の豊かな体験を味わえるゲームソフトの充実度であろう。

繰り返すように、Wii Uは1年目にキラータイトルを展開しきれず「勢い」を失い、ハードやソフトを活かしきれなかった。一方でSwitchは初速から「勢い」をつけ、さらに1年ごとに話題を切らさないことで「勢い」を維持したことが、大成功へと繋がった。

この理屈で考えれば、当然「Switch後継機」が成功するかどうかも、岩田がかつて語った「勢い」を維持できるかどうか、ということに尽きる。つまるところゲームソフトをどこまで任天堂で揃えられるかが、その成否に直結するだろう。

もっとも「良質なゲームソフトを揃える」というのは口で言うのは簡単だが、行うのはこの上なく難しい。そもそも面白いゲームを作ることに再現性などほとんどない。いくら優秀な開発者が集まり、予算が潤沢にあったとしても、失敗したゲームは星の数ほどある。任天堂はSwitchの時代にはこの奇跡的な成功を連続させてきたが、それがどれほどの困難だったかは想像に難くない。

ただ強いて言えば、優れた作品を生み出すのに必要なのは、何よりも人材である。そして任天堂には世界中から才気あふれる人材を集め、活用するための手段が恐らく確立されている。この人材という強みを継続して活かせるシステムを発展させられるかどうか、それが「Switch後継機」並びに今後の任天堂に問われる争点となるだろう。

【関連記事】
任天堂が「法的にグレー」だったゲーム実況をいち早く認めたワケ
「少年ジャンプ→アニメ」だけが大ヒットするわけではない…世界中のアニメファンが熱狂している韓国発の作品
「世界の猫を喜ばす」会社は、なぜ日本中の嫌われ者となったのか…いなば食品の炎上が止まらない根本原因
「ツバキ」「ウーノ」の売却は逆効果だった恐れ…資生堂が「1500人早期退職」に追い込まれた3つの理由
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ【2022編集部セレクション】